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19. サービス提供期間満了による契約終了

 

19.1 はじめに

 

19.1.1 以下の間には、区別をつけることが可能である。

・ 実際上、代替用途のない資産(例えば学校、病院、刑務所、専門家のための情報システム、場所と性質から公共にとってしか価値の無い庁舎など)を必要とするサービスを対象とする契約

・ 同様のサービス提供に使われるかどうかに関わらず、代替用途が存在する資産を必要とするサービスを対象とする契約(例えば、他のユーザーの需要がある場所における庁舎、一般的な情報システム、代替的土地利用など)

 

19.1.2 “代替用途”という語は、このガイダンスでは、プロジェクトに関連して使用又は創出される資産の用途で、事業者は当局からその利用代金を受領しないが、商業価値のあるものを指す。例えば、拘置という当局の特別の目的にのみ使用されなくてはならない土地上のプロジェクトは、ほかに代替用途の全くない刑務所ぐらいにしかなりようがない。それを変更するためには土地の利用制限を変更することが必要である。“代替”という言葉は、若干誤解を招く恐れがある。なぜならば、例えばある特定の人々に対する住宅供給プロジェクトに使われている住宅は、契約期間終了後も同じ住人に対して住居サービスという同じ用途に“代替”利用できることがありうるからである。この場合異なるのは、契約期間中は公共がサービス料支払を行っていたが、終了後は第三者(例えば住人)がサービス料支払を行うという点だけである。

 

19.1.3 資産に代替用途がある場合の論点は次の二つである。まず第一に、当局が残余価値に関わるリスクを事業者に移転できるか否か、第二に、これが契約満了による契約終了時の支払いにどのような影響をおよぼすかという点である。

 

19.1.4 このガイダンスでは、“残余価値”とは、契約に関わる資産の契約満了時における市場価値を意味する。契約締結時には、この資産の残余価値は不明である。“残余価値リスク”とは、残余価値が結局いくらになるかということが不確実であるというリスクである。たいていの場合、期待される残余価値の概算見積もりがなされ、それが資金調達ストラクチャー決定の一要因となる。

 

19.2 代替用途のない資産

 

19.2.1 代替用途の無い資産とは、一般的には、当局が期間満了日に必ず資産を取得することが出来るようになっていることを望む種類の資産であることが多い。これは、たとえその資産が十分に目的を果たし、その経済的寿命が期間満了日に終わっていたとしても同じである。一方事業者は、契約期間中に(きちんとしたサービス提供を条件として)投資回収することを期待する。また当局が受け入れられる対価で事業者が代替用途の無い資産の残余価値リスクを引き受けうけることは現実的には全くありえない。

 

 

 

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