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10.3.4 利用不能と基準以下の履行との組み合わせを用いて、事業者による不履行を示すこともある。しかしながら、意図的でなくても同一の不履行に関連して2種類の減額が行われることは避けるよう注意すべきである。

 

10.4 支払いメカニズムの構築

 

10.4.1 実際、さまざまな構造の支払いメカニズムが、さまざまな部門で用いられてきた。〈モデルA(後述)〉は多くのプロジェクトにおいて、当局が購入を希望するサービス(公共サービスを提供するために、明確な基準に照らして利用可能な場所もしくは区画)をもっとも正確に反映するだろうし、したがって推奨されるアプローチである。

・ モデルA──これは、【7. サービスの必要条件と利用可能性】および【9. 履行の監視】で詳述された方針に従うものである。一括請求は利用可能な場所もしくは区画の数を基礎とする──それゆえ、利用可能な場所もしくは区画のみが支払い対象となる。利用可能な場所もしくは区画の定義はその中に、機能を果たす上で当局の必要条件の中核となる進行中のサービス提供が組み込まれており、業績ポイント制度は場所の利用可能性に影響を与えないサービス、および(もしくは)中核となるサービスの定義から外れたサービスの履行水準を表示するためだけに用いられる。基準以下の履行から導かれるのは、当初は“業績ポイント”の発生という結果だけであり、一定水準以上の業績ポイントが発生しても実際は一括請求からの減額には間接的に結びつくだけである。

 

10.4.2 モデルBは、個々の場所というより、むしろ広範にわたる便宜といった方面に焦点をあてるため、これによっても必要条件として課されたサービスの代価としての一括請求という体系が定まる。

・ モデルB──このモデルでは、一括請求が、便宜に関わる包括的な必要条件の完全な規定を基礎にしており、かつ支払いメカニズムが単に利用不能および(もしくは)基準以下の履行を理由に減額を決定するだけである。利用可能性は、使用可能かつアクセス可能であるというだけで決定され、どの区画が利用不能であるかによってさまざまな減額が行われる。たとえば、宿泊施設に関わるプロジェクトの場合、施設の各部分は単位区画に分けられ、それらの重要度により異なる重要度を付与される。利用可能な単位区画が提供されなかったという不履行については、そのそれぞれを理由に、当初は一括請求に該当する重要度を乗じた額に等しい額の減額が行われる。この減額を段階的に増額する表にもとづいて行うことも可能であり、その場合、同じ空間がその後も利用不能であれば累進的に高額となる減額がもたらされるだろう。モデルAの場合、基準以下の履行からもたらされる結果は、当初は業績ポイントであり、発生した業績ポイントが一定水準を超えると支払いの減額が行われるが、本章における利用可能性の定義からは、当局の課す必要条件のうち一定の重要なサービスにかかわる諸条件が割愛されるため、重要なサービスは直接的な支払い減額という結果をもたらす点も適正かもしれない。

 

 

 

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