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5.3.1.2 一般に免責事由の一つの要因は、たいていの場合、免責事由によって契約の終了はもたらされないということである。これは、公認の事業者が同様の影響を受けるので、契約の終了によって当局の立場は改善されないからである。免責事由には不可抗力事由と同様の処置は必要でない。というのは、その結果が同様に苛烈である可能性は少なく、通常は一定期間続くだけだからである。

 

5.3.1.3 免責事由が発生し長らく続いた場合に契約を終了する権利があるかどうかは、議論が分かれるかもしれない。これが推奨されないのは、二つの理由による。第一に、事業者に対する、リスク管理(契約の終了時に支払われるべき補償によって異なる)への適切なインセンティブがないからであり、第二にはかかる事由は発生しても短期間である(たとえば、供給業者によるストライキ)か、もしくは結果的に事業者によって問題の供給物は代わりの供給源から供給されるようになる(たとえば、燃料の不足)か、あるいはその双方だからである。いかなる場合も、かかる事情(すなわち、事業者の不履行)において終了時の支払いのための適正な方法に、事業者が同意する見込みはなさそうである。

 

5.3.2 含められるべき事由

 

5.3.2.1 免責事由の定義は、草稿においては、以下のとおりとすべきである。

“免責事由”

とは29

(a) 火事、爆発、雷光、暴風、暴風雨、洪水嵐、水タンク、器具もしくはパイプの爆発もしくは溢流、イオン化による発熱(ionizing radiation)(不可抗力を構成しないかぎり)、地震、暴動もしくは擾乱

(b) 法定請負人、公益事業者、地方自治体、もしくはその他これに類する団体の、業務遂行もしくはサービス提供の不成就

(c) 事故による、開発もしくはそのためにもちいられる道路の損失もしくは損害

(d) 電力、燃料もしくは輸送機関の破損もしくは不足

(e) 不可抗力を構成しない封鎖もしくは出港禁止

(f) 広く[ ]業界30、もしくはその重要部門に影響を与える公認もしくは非公認のストライキ、事業所封鎖、怠業、もしくはそれ以外の紛争。

 

29 この一覧は、事業者が依然としてかかる出来事が発生する商業上のリスクを抱えている場合は、当局の役割について不当な懸念を呼ぶことなく、その範囲を拡げることが可能である。【2. 契約の存続期間】の脚注3で詳述されているアプローチが採られた場合、建設段階でのかかる出来事の一覧は結果的に(実際上)際限がなくなるだろう。

 

 

 

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