日本財団 図書館


1)地球環境をまもる

1992年6月、ブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて、今後人類が持続可能な発展を達成していくためには、環境保護と開発とは不可分であると唱えています。(アジェンダ21、第四原則)このことは、今と同じことをしていたのでは、環境面からの制約で持続可能な発展が不可能になるというおそれがいたる所に現れていることの裏返しです。

これまでは自然の浄化作用がうまく働いていましたが、人口が増え、経済が成長し、地球の自浄作用を越えてしまったというのが地球環境問題です。地球温暖化をもたらす炭酸ガスが猛烈な勢いで増えていることは衆知の事実であり、2020年には75億に達すると言われる人口をまかなう食料不足も深刻な環境問題と言えましょう。

 

2)規制緩和のなかで

このところ、規制緩和ということが叫ばれています。幾重にもかかった、複雑な規制を単純化し、必要最小限に抑え、あとは、自主管理に任せることは歓迎すべきことでしょう。

しかし、その時、一般消費者、市民は何を信じれば良いのでしょうか。従来は法律が守ってくれていました。いささか不安も出てくることでしょう。

また、企業はどうすれば、一般消費者、市民に信じてもらえるでしょうか。従来は法律を守っていればよいというところもありました。これからは、自由な選択と自己責任の時代です。そのためには必要な情報の正確な伝達が前提となります。当事者間の信頼関係は行政に頼ることなく、自ら作り上げていかなければなりません。企業は、自己責任において、信頼をかちうる行動を起こし、自らその事をPRしていくしかないのです。環境もしかり、環境マネジメントシステムを構築し、それに従って環境行動をとっていくということと情報公開がそのための良い方法になるでしょう。第三者による客観的審査による保証という手段も考えられます。

 

3)メリットの追求。メリットはまだまだある。

a)リスクの回避

どのようなプロセスにおいても、普通の操業が行われていれば、大きな環境問題が起こることはないでしょう。事故時、緊急時、災害時に環境問題を起こしている事例が数多く見られます。逆に言えば、事故等が起こる可能性をできるだけ小さくし、更には、不幸にして事故が起こってもその被害を小さくするような「仕組み(システム)」を構築することは大きなメリットになります。また、事故等は起こってからでは遅く、あらかじめ予測、想定したうえで、その場合の手順を定めておくシステムによってしか対処できません。環境リスクへの対処はISO14001に盛り込まれており、最も新しく、そして、重要な部分になっています。

 

b)コストの削減。

最近の日本において、合理化は殆んどの場合、環境に貢献していると言ってよいでしょう。単純に言えば、無駄に環境に出ていくものを減らせば、収率が上がり、収益が改善されます。実際、原料転換、プロセス転換、無理、無駄、ムラを無くすことにより、収益改善とともに環境改善がはかられてきています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION