日本財団 図書館


直接的にISO14001の効用ではありませんが、例えば、環境に優しい車はいくらか高いが、一方で、燃費がよい、行政は減税してくれる、保険会社はこの種の車の保険を安くしてくれる、自治体、金融機関が低利の融資をしてくれる等いくつかのこと利点がでてきて、経済的プラスになるようなこともでてきています。

企業がテレビ、新聞、雑誌等でISO14001を取ったとのPRや環境広告も盛んになってきています。この中では、具体的な情報開示も行われており、これが一般市民の意識と知識の向上に一投買っているところもあります。ゼロエミッションやグリーン購入等他企業へ影響するところも大であり、総体として環境改善がはかられていく土壌が出来つつあると言えるでしょう。

私たちは何をしていても環境に対して何らかの影響を与えています。マイナスの事も多いですが、プラスの事もあります。汚染物質の排出、資源の消費等のマイナスがある反面、環境関連あるいは資源・エネルギー等の高度利用や教育・啓蒙といった将来に向けた大きなプラス面もあります。何がプラスに働き、何がマイナスに働くかを明確にし、プラスは最大化をはかる、マイナスはそのリスクをも考慮して最大化をはかることをケースバイケースでやるのでなく、方針をたて、計画を作り、進捗管理、チェック、改善と「仕組み」を作ってシステマティックに進めていくことになると、企業におけると同じような環境マネジメントシステムができがることになり、これにISO14001という世界に認められた国際規格を利用していけることになります。

環境マネジメント(Environmental Mnagement)は最近になって注目されはじめた考え方です。従来私たちが行ってきた、環境法規制を守る、環境に悪いものを排出しないというように受け身的に、外部からの制約に対応するだけでなく、成長する経済とも調和させながら、将来を見据えた経営の一環として環境を取り扱っていこうとする考え方です。その契機となったのは、ブラジルのリオデジャネイロで開催された、環境と開発に関する国際会議、いわゆる地球サミットでした。

「環境に配慮しつつ、持続可能な発展(Sustainable Development)をはかる」としたアピールは、人口爆発、地球温暖化、熱帯雨林の減少、オゾン層破壊、海洋汚染、砂漠化等の地球規模の環境問題の解決や、有限な資源と自然環境の保全、生物多様性の維持に向けて、国際社会の共通認識となりました。

 

2. 今なぜ、環境マネジメントが必要か。(ISO14001認証取得の意義)

ISO14001は従来の環境法規制とは異なって、任意規格であり、企業にその実施が義務づけられているわけではありません。始める前にこの「仕組み」を作り上げ、実施していてくことにどれだけの価値と意味があるか、企業自身でその必要性と目的を十分に検討し、明確にしたうえで、自主的に行動に移していく必要があります。必要性、目的を明確にしないまま取り組んでいるのでは、長続さもしないし、コストがかかるだけで、徒労に終わるかもしれなません。一枚の登録証を買うことだけが最終目的ではないはずです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION