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資料

 

企業にとってのISO14001

環境管理から環境マネジメントへ

 

新時代の経営戦略-国際環境規格、ISO14000シリーズの意味するもの

 

財団法人 日本品質保証機構ISO推進本部

副本部長 市川昌彦

 

1. 国内におけるISO14001への対応状況

1996年9月1日、環境マネジメント(経営)システムの国際規格、ISO14001が発行され、そのまま翻訳JIS化されてJIS Q 14001として10月201日に制定・発行されました。国内ではこの規格に基づき、環境マネジメントシステムを構築して、その審査登録を受ける企業が急速な勢いで増え続けています。環境管理調査会のまとめによると、平成11年7月末で、登録件数は2,238件にのぼっており、電気機械分野が今のところ多くなっていますが一般機械、化学、精密機械、等が伸びてきており、更にあらゆる分野に展開中です。

品質管理に関する対応規格、ISO9000シリーズではそれほど関心を示さなかった電力、自動車を主とする輸送用機械、建築・土木、環境関連産業の伸びにも大きいものがあります。これらの分野では従来も法規制への対応等の環境管理を行ってきましたが、それに加えて深刻化し、複雑化する環境問題の解決に向けて新しい方法論を取り入れようとしているためでしょう。

サービス業、食品・飲料製造業、更には、地方自治体、大学・各種学校等の認証取得が目を引きます。地方自治体は直接的に環境規制等も行っていますが、企業の環境管理の信頼性が上がれば立入検査等のサンプリングを滅らし、規制緩和をしていくというところもでてさており(神奈川県がISO14001の認証取得企業に対し、新設設備の審査等に対して行っている)、地方自治体がISO14001への理解を深めるとともにこのようなところが多くなっていくことでしょう。これは地方自治体自身の合理化にもつながるからです。また自ら認証取得をして、地場産業、特に中小企業の認証取得へ向けて、指導力を発揮していくこともできるようになり、滋賀県工業技術試験所がその最初の例です。

認証取得をする場合、あるいは環境マネジメントシステム構築の場合、その範囲の決め方は自由ということになっています。これはまた、環境マネジメントの効果が発揮できる範囲ということにもなります。地方自治体の場合、庁舎の中の事務的活動から地方自治に伴う事業、政策の立案・実行、住民との共同の活動等まで非常に巾の広いものになりますが、住民への公開・説明の必要もあり、事務作業から出てくるゴミや紙資源、電力・水等の削減にとどまらず、本来業務を含めたものにするところが多くなっているようです。

同様のことは、商社、保険、銀行他の金融等を始めとするサービス業についてもいえ、事務作業だけの環境側面(自らの内にある環境にプラス/マイナスとなる原因)を捕らえることから、商社においてはプロジェクト管理、保険においてはリスク評価、銀行においては融資等の本来業務を通してどの様に世の中の環境改善を行い、あるいは環境破壊又はそのリスクを低減していくかという大きな環境貢献を考えはじめています。

 

 

 

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