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そうしたところへ、今年の2月1日のテレビ朝日の報道によりまして所沢のダイオキシン問題が大きな波紋と相なって広がりました。こうした問題が起きますと、皆さんえてして、国が悪い、県が悪い、市が悪いと言いがちなんです。私は、農家の方々の生活を守ること、そしてまた消費者に安全で新鮮な野菜を提供することが何よりも大切であると考え、直ちに首脳会議を開催いたしまして、副知事を筆頭とした対策会議を設けました。また、全国で初めてとなります農産物の安全対策室も設置をいたしましたほか、県内調査を緊急に実施することを決定いたしました。

また、全国的な安全基準が御案内のとおりないので、国に制定をお願いに行くことになりましたが、これは大きな問題なので、私が直接国に行って協力を要請することにいたしました。かくして私自ら先頭に立って、農水、厚生、環境の3大臣に安全基準の制定などを強く訴えました。私は、このときぐらい人間関係というものは物や金ではかえられない尊いものだということを痛感したことはありません。中川昭一農林水産大臣のお父さんである今は亡き中川一郎さんとは、第3次佐藤内閣におきまして一緒に政務次官をやった仲間でもございました。また、宮下厚生大臣は、私の政治家としての育ての親と申しましょうか、今は亡き福田赳夫先生の門下生の一人でもございます。そしてまた、真鍋環境庁長官は、今は亡き大平総理の秘書をやった方でもございまして、参議院でも一緒にやらせていただきました。そして、真鍋さんが先頭に立って農林大臣や厚生大臣に呼びかけ、3省庁の連絡会議を設けていただき、また3省庁の局長会議も設置をしていただいたようなわけでございます。小渕総理にも直接私がお会いして実情を訴え、国としての早急な対応を直接要請したかったのでございますが、連絡とりましたところちょうどヨルダンの国王の弔問に行っておられました。帰国後、直接私に電話がございまして、私が政府の対応のかつてない早さに感謝を述べますと、「うちの家内も所沢のホウレンソウを食べているんだ」と話しておられました。そうして電話がありました翌日には、総理がダイオキシン対策関係閣僚会議の設置を指示されたところでこざいます。そして、幸い3月には安全宣言が出され、また県が公表いたしました緊急調査結果の数値につきましても、専門家の委員の先生方から問題はないとの見解を得ました。私は早速、所沢の駅前に出向き、お茶の生産農家の方々とともに狭山茶をPRしたほか、東京の数寄屋橋にも出向きまして、茶業青年団の方々との先頭に立ってPR活動をいたしました。こうした私の熱意をお酌み取りいただき、先の通常国会ではダイオキシン対策法案が異例のスピードで参議院先議で行われまして、全会一致で可決成立をいたしております。

現在県では、小型焼却炉に対する条例による規制対策を進めておりますほか、県外産業廃棄物の事前協議制度を導入するなど、これまで以上にきめの細かいダイオキシン対策を推進いたしております。我が埼玉県は首都圏にあって、300年前の武蔵野の面影を残した唯一の県でこざいます。私はこうした自然を守るべく、今後も環境の問題の解決、自然環境の創造に全力で取り組んでまいる決意でございます。しかし、私一人の力にはおのずと限界がございます。どうか皆様方には引き続き格別のご理解、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

終わりに、御参会の皆様方の御健勝、御活躍を祈念申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。

 

 

 

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