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国庫補助対象サービスのほか、東松山市では、徘徊高齢者を対象とした徘徊探知・保護システム「徘徊高齢者等SOSネットワーク」を独自に構築し、稼動させていることが確認された。このシステムの概要は以下のとおりであるが、「徘徊」という行為が単一自治体の範囲に留まるわけではなく、広域的な対応が必要性なため、同ネットワークを推進する「家族の会」等が中心となって、システムの全県的、全国的な取組を目指している。

このほかにも、大宮市と東松山市ではボランティアの「電話による声訪問活動」や、大宮市の交番の巡査による「年末のひとり暮らしの高齢者宅見回り」など、さまざまな高齢者の見守り・安否確認サービスが地域社会の中で実施されている。

 

■東松山市の取組:「徘徊高齢者等SOSネットワークシステム」

各地で取組が広がる「俳個高齢者等SOSネットワーク」は、行方不明になった高齢者を警察だけでなく報道機関、バス・タクシー会社、コンビニ、ガソリンスタンドなど地域で一斉に捜索し、早期発見・保護するシステムである。徘徊老人の凍死が相次いだ北海道釧路市で平成6年に初めて行われ、「呆け老人をかかえる家族の会(以下、家族の会と略す)」の集会で発表されたことから関心を集め、警察庁が全国の警察署での取組を指示したものである。

現在までに、このシステムは42都道府県658ネットワークが2,085市町村を対象として(家族の会資料より)構築され、埼玉県内では平成8年に越谷警察署、その後、西入間警察署(坂月市・鶴ヶ島市)、東松山警察署で取組が始まったばかりである。

東松山市では、民生委員と家族の会会員が中心となって警察署や市役所に働きかけた結果、市役所の協力を得、市の水道部や社会福祉協議会、民生委員協議会、行政協力員連合会、東京電力東松山支店、郵便局、市内のバス・タクシー会社が現在までに協力団体となったが、まだ実質的に稼動しているとは言い難い状況にある。その理由としては、1]徘徊者に対する地域社会の理解、システムの周知が徹底していないこと、2]協力団体とはいえ、徘徊者を人の眼で発見・保護等をすることは、これを通常業務とせず、本来の業務の傍らで実施、対応しなくてはならない個々の協力員にとっては困難さがあること、などが挙げられる。

しかし、「徘徊」という行為は一自治体の地区内に留まるわけではないため、家族の会では本システムが全県的かつ全国的に取組まれるよう、各方面に働きかけている。その成果の一つとして、行方不明者の保護を業務とする埼玉県警が平成11年10月、保護願いをFAXで受取る新たな仕組の採用を決定した(図表5-2)。

 

 

 

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