日本財団 図書館


(3) 現行の行政サービの改善案

 

ア 施設送迎サービス

 

(ア) 検討課題

現在、行政サービスとして実施されている福祉施設(デイサービスセンター)への「送迎サービス」については、介護保険施行後は、デイサービス(通所介護)事業の付帯サービスとして保険請求できることになるため、施行後の送迎サービスの運営は原則として個々の通所介護事業者の責任となる。このため、これまで自治体が送迎サービスの実施主体であった場合には、個々の事業者(デイサービスセンター)への事業の移管とともに、その実施方式・実施体制の選択が必要となる。

また、これまでのデイサービスセンター以外の高齢者保健福祉施設への送迎サービスの実態については正確な把握ができないが、おそらく各自治体や各施設の裁量に任されていたと考えられる。しかし、平成11年11月の厚生省資料によれば、介護保険対象外の「外出支援サービス事業」の範囲が「介護予防・生きがい活動支援事業を提供する場所、医療機関などとの間の送迎」にまで拡張されたことから、行政サービスとして対応すべき領域はむしろ拡大する方向にあり、これをどのようなシステムで実施するかが今後問われることになろう。

 

(イ) 代替・新規システムの検討

 

1] 送迎機能の分割委託方式

一般に、施設送迎サービスの実施形態は、デイサービスの実施主体が直営するか、一括して外部(その大半は旅客輸送専業の民間企業)に委託するか、のいずれかである。

そのような中で、東京・板橋区は、ユニークな方式を採用している。同区は、大都市部では珍しく、行政直営を中心に在宅福祉サービスの拡充を進めてきたが、事業開始時よりデイサービスの送迎については、採算面を考慮し、福祉車輌を購入し、維持管理するのではなく、福祉車輌をリース契約(事業委託)する方式を採用してきた。当初の委託方式は、区が車輌の改造を指定し、事業者に改造費用と改造した福祉車輌のリース費用、運行管理費用を加えた一括事業委託であったが、平成6年に委託方式を見直し、「福祉車輌リース」と「運行管理委託(運転手派遣)」を別会社に分割した。

この結果、当初大型バス(リフト付き)1台年間およそ1,270万円の事業コストを、車輌リースと運行管理を併せても、およそ900万円弱(平成6年時)という、大幅なコスト削減ができたという。ただし、このシステムの問題としては、契約を分割したことによって、事故の際の責任を誰がどの範囲まで負うかという点において、責任所在に不明瞭さが残されていることだという。

 

2] その他の新規・代替案

その他の施設送迎サービスについても、施設におけるサービスが通所介護のように一定時間帯にプログラムされている場合には、基本的にルート設定による送迎方式で対応するのが合理的であろう。ただし、利用者数に応じて、各種タイプの福祉車輌の中から適切なものを選択すべきことはいうまでもない。また、事業の実施方式についても、上に述べた分割方式も選択肢に加えて検討することが望ましい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION