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次いで、現行の「緊急通報システム」の改善案を、システムの機能要素(1]発見・通報、2]受信・対応指示、3]確認・保護)レベルの代替手段に着目しつつ、事例を参考にして検討した。また、「徘徊老人の探知・保護」という新しいニーズに対応するサービス・システムについては、地域の多様な資源を組織的に活用する「SOSネットワークシステム」と、先進的な通信情報技術を活用するシステム、という対照的な2案を比較検討し、両者を適宜組み合わせる代替案についても提示した。

 

〔終章 調査のまとめと今後の課題〕

 

前章までの調査を総括して、調査の成果(サービスの供給構造のある程度の解明と一定の代替方策の提示)と残された課題(代替システムの改善効果の未検討、地域特性とサービス供給・代替案の選択可能性との関係の解析不足など)を要約した。また、本調査結果の活用にあたっての留意点として、1]代替案検討の前提としての各市町村の施策の重点目標の明確化、2]提示された代替案と地域の資源特性との適合性の吟味、3]事業コスト及び非経済的価値指標に基づく現実的な政策形成を指摘した。なお、本調査は、個別サービスに焦点をあて検討したものであるが、よりトータルな社会形成・地域経営の観点からの資源発掘も重要である。

 

資料編各章の概要は以下のとおりである。

 

〔第1章 埼玉県の在宅福祉サービスの現状〕

 

介護保険適用サービスを含めた在宅福祉サービス全体の県内動向を確認するため「埼玉県高齢者保健福祉計画(彩の国ゴールドプラン)」の進捗状況及び余裕教室の転用状況について把握した。また、行政サービス以外の在宅福祉サービス実施状況を把握するため、その他の供給主体の動向を概観した。

 

〔第2章 モデル地区の地域特性と在宅福祉サービス〕

 

モデル地区に選定した大宮市、東松山市、小鹿野町について、文献調査、担当者アンケート調査並びに現地面接調査を行なった結果について、自然地理的特性、社会経済的特性、健康福祉関連施設の整備・配置状況、在宅福祉サービスの実施状況、在宅福祉サービスに対する住民ニーズ、の項目別にとりまとめた。

 

〔第3章 検討対象外サービスの現状等〕

 

調査対象とした主な在宅福祉サービス(介護保険対象のものを除く)のうち、代替案を検討する優先度がやや低いと判断した寝具洗濯乾燥消毒サービス、身体介護・家事援助サービス、福祉用具給付・貸与サービスについて、行政サービスの現状と問題点・課題をとりまとめた。また、地域資源の活用に結びつく可能性のある「元気な高齢者のコミュニケーションの場」についても簡単な考察を行った。

 

 

 

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