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2 調査研究の視点

 

(1) 健康福祉資源の定義

 

通常、社会資源と言えば、「社会で生活する人々や集団が、さまざまな問題を解決したり、よりよい生活を送るのに役立てられるすべて」のことを指す。より平たく言えば、ひと、カネ、もの、情報、制度など、生活になくてはならないもの、ということができる。このような社会資源のうち、本調査では、地域社会において住民の保健・医療・福祉分野で活用可能な諸手段を、ここでは健康福祉資源と呼ぶ。

 

(2) 調査対象地域

 

本県には、92市町村があり、都市的な地域もあれば、田園風景を残す地域、山間地域もあるが、本県の地域特性を大まかに分類すると、人口や社会資源の密集した都市地域、市街地と緑地空間が適度に分節化している田園地域、近隣の人間関係が濃密に残った緑豊かな山間地域に分けることができる。

そこで、本調査研究における地理的範囲は、人口規模、人口密度で分類し、次に産業構造や地理的特性等を考慮すると同時に、多様なサービス供給構造と当該団体における資源の代替可能性の把握を担保することを条件に、大宮市、東松山市、小鹿野町の三つのモデル地区を設定した。

 

(3) 対象サービスの種類

 

本調査研究では、各サービスに対するニーズ(潜在的なものも含む)の動向や供給システムの特徴から評価した検討対象としての重要度(優先度)と、副次的には、検討項目や参考事例の豊富なケースの方が分析の成果もより有意義である、という調査効率上の理由から、1]配食サービス、2]外出支援(移送)サービス、3]見守り・安否確認システム、の三つを対象とした。

 

(4) 代替システム案の実効性

 

本来的に別の機能・役割を担っている社会資源を健康福祉資源として活用し、効率的で住民生活に密着した健康福祉サービスを提供することができるかどうかは、ひとえに社会資源の賦存状況に左右される。また、社会資源の健康福祉資源化は、当該地域の住民ニーズを大前提とし、健康福祉資源サービスの供給形態や市町村の実情等によっても規定される。

それゆえ、本調査研究における代替システム案が、モデル地区の市町村だけでなく他の自治体にとっても有効性をもち得ることに配慮し、サービス毎の一般的な問題や課題に応じた幅広い代替案の考え方と先進事例を提示することとし、これによって市町村の最適な政策選択を促し、もって実効性を担保する、という考え方を採用した。

 

 

 

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