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この制度は、業許可及び施設の設置許可のいずれも不要としている点では画期的といえるものと考えられる。

しかしながら、現在、厚生省令で定める廃棄物として、廃タイヤしか定められておらず、廃タイヤを燃料として使用するセメント工場等においては、全国的に広く浸透しており、その再生利用の推進には資しているものの、他の再生利用可能な廃棄物には適用されていない。

総じて言えば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律については、再生利用のリサイクルの推進に直接的な関係がある上記2つの規定はあるものの、その同法の目的が、「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」ことにあるように適正処理の色彩が強い法律である。

こうしたことから、廃棄物のリサイクルを一層推進するためには、現行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の枠内で対応するのであれば、前述の2つの再生利用に直接つながる制度について、対象となる廃棄物の範囲の拡大、要件の緩和等による適用範囲の拡大を図っていく必要があると考えられるが、同法がそもそも、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る観点から、基本的に廃棄物の適正処理という視点に立脚した法律であることから、同法の枠内で対応していくことには限界があると考えられる。

 

(イ)廃棄物処理法の問題点

また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律については、資源循環型社会の構築を推進するに当たり、障害となっている点もいくつかあり、例えば、次の点が挙げられる。

まず、第1に、廃棄物であるか否か、つまり、廃棄物処理法に基づく処理が必要か否かは、その物が有価物であるか否か、すなわち取引される際に、引き渡す側が受け取る側に対して金銭を支払えば廃棄物となり、逆の場合には廃棄物とはならない。

そのため、どのようなシステムの中でその物が取り扱われるかについては、再生可能か否か等、その物の性質そのもので決定されるものではないことから、同一の再生可能なものであっても、その物の取引実態により、その物の取り扱い方が異なってくることとなり、その物の属性に着目して統一的なリサイクルシステムの構築が困難になるとともに、再生可能な物であっても、廃棄物として単なる焼却処理されてしまうものが出てくることとなっている。

第2に、前述した第1の項目と類似しているが、廃棄物処理法では、廃棄されるものの排出形態によって一般廃棄物か産業廃棄物かが明確に区分されている。例えば、同じ紙であっても、印刷業者から出る紙は産業廃棄物になるし、オフィスから出る紙は一般廃棄物ということになり、実際の処理のルート等は異なることとなり、この区分も、物の属性に着目した統一的なリサイクルシステムの構築を妨げる要因ともなっている。

第3に、これは制度の問題というよりは、市町村の意識の問題かもしれないが、一般廃棄物の適正処理が市町村の責務とされている一方で、排出抑制を推進するために、選別した資源化物の保管場所の確保やリサイクルの推進に取り組んでいる団体への支援などにかなりの財政負担を強いられている現状にある市町村もあり、極端にいうと、適正処理だから何でも適正に焼却してしまえばいいという考えの市町村も出てくることにもつながっている。

 

 

 

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