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(2) 循環型社会の構築のために必要な施策の方向性

ア 現行制度の見直し

循環型社会を構築するということは、エネルギーや物質をどう循環させていくかという問題でもあり、それは、廃棄物をどのように取り扱うかという問題に象徴される。

そうした意味で、廃棄物に関する基本的な法律である廃棄物の処理及び清掃に関する法律を見てみる。

 

(ア)廃棄物処理法の限界

排出抑制やリサイクルについては、例えば、第1条の目的の中で排出抑制について触れられており、また、第2条の3の国民の責務及び第3条の事業者の責務の中で排出抑制や再生利用に関する努力義務及び行政の施策に対する協力義務が、第4条の国及び地方公共団体の責務の中で、国、都道府県及び市町村は廃棄物の排出抑制に向けた意識啓発の努力義務が規定されている。

また、同法第5条の2では、廃棄物の減量等に関する事項を審議させるため、市町村に廃棄物減量等推進審議会が設置できるものとされており、同法第5条の3では、市町村は、一般廃棄物の減量のための市町村の施策への協力その他活動を廃棄物減量等推進員を委嘱することができることとされている。

さらに、同法第6条では、市町村は、一般廃棄物の排出抑制のための方策に関する事項も含め、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならないこととされている。

なお、この一般廃棄物の排出抑制のための方策に関しては、厚生省の通知により、減量化の目標率が示されており、また、その部分は廃棄物処理施設の設置に係る国庫補助と関連していることから、その範囲では、ある程度の実効性は担保されるものと考えられる。

いずれにしても、前述の各規定は、努力義務や目標に関する規定であり、排出抑制やリサイクルの推進に直ちに結びつくものではない。

一方、同法の中で、直接にリサイクルの推進に結びつく制度としては、2つのことが規定されている。

まず、1つ目は、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行おうとする者のうち、石膏ボードや自動車のバンパー等について、再生利用されることが確実であると都道府県知事又は市町村長が認めた廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を行う者であって市町村長等が指定した者等、再生利用の目的となる廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分のみを業として行う者など一定の者については、一般廃棄物処理業又は産業廃棄物処理業の許可を受けなくていいこととされている(法第7条第1項・第4項、第14条第1項・第4項)。

しかしながら、この制度については、要件が厳しく定められているとともに、業許可は不要であっても、廃棄物処理施設の設置許可は、許可業者と同様に必要であること等から、活用されている事例は全国でも極めて少ない。

2つ目は、同法第9条の5の2に規定されている一般廃棄物の再生利用の特例である。

これは、厚生省令で定める一般廃棄物の再生利用を行う場合には、その内容、その者及びその施設が一定の基準に適合していることについて厚生大臣の認定を受けた場合には、一般廃棄物処理業の許可又は施設の設置許可は不要となるものである。

 

 

 

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