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(3)アンケート結果(その2)

地球温暖化防止策を実施するにあたり、最も重点的に共同で取り組んでいこうと考えている庁外組織としては、回答の多い順に

・市民団体 (42.0%)

・企業 (18.2%)

・(無回答) (13.2%)

・教育機関 (10.6%)

・産業団体 (7.4%)

・その他 (7.4%)

・NPO (1.1%)

となっている。

最も身近かで、行政の直接的な活動のよりどころとなる市民団体への期待が大きいのは、分かりやすい結果である。

次いで企業の数字が高くなっているが、環境負荷の多くが産業活動に由来していることが背景にあると考えられる。また、これまでの我が国では、公害対策などを通じて企業に対する「行政指導」などが有効に機能し、成果をあげてきた、という「成功体験」も影響しているものと見られる。

残念なのは、NPOに対する期待が大変低く<最下位>であることである。というのは、環境対策の進んでいる西ヨーロッパや北米においては、いわゆる環境NPOが非常に大きな役割を担っているからである。

これは、1つにはNPO法が施行されたばかりであり、いわゆる法律の定義するNPOの実態がまだ見えてこないことがあるだろう。まだ法による認定を受けていない、広義のNPO団体は、回答の中の「市民団体」としてカウントされていると見ることもできる。さらに、NPO法のもとで設立された団体以外の広義のNPOについては、これまで空港反対や河口堰反対など、行政に対して一方的に「異義申し立て」ばかりしてきた、要求するばかりで自分たちでは責任ある行動をしていない、という「印象」が行政内部に根強くあるのではないかと推測される。

実際、欧米諸国でもかつては行政内部にNPO(あるいはNGO)に対する根強い不信感が強かった。しかし、一部の原理主義的な過激な団体は別として、多くの団体が徐々に冷静な対話を経て、お互いに建設的な役割を分担するように「成熟」してきた、という経緯がある。

NPOとのパートナーシップを組むことにより、行政単独、あるいは市民団体単独で行動を起こす場合に比べ、官民の複数の財源(公的予算と民間からの寄付など)を複合して大きな予算にしたり、民間のボランティアの労働力や企業の寄付による資材の提供などがより有効に活用されることが期待される。今後ますます財政の逼迫が予想される中、NPOに期待される機能は大きくなりこそすれ、縮小することはあり得ないであろう。

地球温暖化対策においても、今後、我が国なりのNPOの領域を広げていくとともに、行政との対話を重ね、少しずつ「共働」の実績を積むことによって相互の信頼感を醸成していくことが望まれる。

 

 

 

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