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4 地球温暖化対策としての都市緑化(温室効果ガスの吸収源拡充の取組)

 

調査研究委員会 委員

輿水 肇

 

都市は高度な社会経済活動と居住の場を提供する一方で、資源・エネルギーの大量消費地であり、大気、水、土壌等の物質循環の中で環境に大きな負荷を与えている。また、これらの負荷の影響により、都市のヒートアイランド化等、都市環境の問題が直接都市住民の生活に関わってきており、今日、環境に係わる問題は都市の問題ということができる。

また、地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催され、昨年4月には地球温暖化対策推進法が施行されるなど、地球環境問題、とりわけ地球温暖化防止に資する取組は、国、地方公共団体や民間、市民生活のあらゆる面から強力な推進が要請されている。

したがって、自然の循環を適切に都市に取り入れ、かつ、豊かな環境と都市における高次の社会経済活動が高いレベルでバランスのとれた、環境と共生する都市づくり(環境負荷の小さな都市づくり)を進めることが重要である。特に、都市における緑化を進めることは、ヒートアイランド現象の緩和やCO2、の吸収を通じて地球温暖化防止に資する等、地球規模の環境問題にも都市総体で対応する骨格的要素である。

そこで、本小論では、都市緑化の取組とその効果を廃棄物の最終処分場を例に考えてみることにするが、その前に、緑化という取組と地球温暖化対策との関係、あるいは緑化の具体的な取組は如何なるものかを概観する。

 

(1)緑化における政府の取組と具体的事業

ア 政府の取組

地球温暖化対策推進法等を踏まえ、政府としても緑化によるCO2の吸収・固定を重要な取組として位置づけているが、その中心的な取組は以下の3つに分類できる。そこで、この点をまず概説しておくこととする。

第1は、二酸化炭素排出の抑制に資する環境と共生する都市づくり、地域構造形成の一環としての緑地保全及び緑化の推進による都市のヒートアイランド現象の緩和への取組である。

この取組は、都市緑化によって豊かな環境と社会経済活動のバランスのとれた、環境と共生する都市づくりや、ヒートアイランド現象の緩和を促すことで、省エネルギー効果を上げ、そのことが最終的にCO2の排出を抑制することになるという考え方を前提とした取組である。

第2は、二酸化炭素吸収源対策としての総合的な都市緑化等の取組である。この取組は、緑化によるCO2の吸収・固定を前提条件としたものであり、公園緑地や街路樹の整備に限らず、民有地や建築物の屋上・壁面など、これまでは緑化が難しいとされていた場所に対しても可能な限り緑化を進めていこうとする取組である。

第3は、地球温暖化対策を進める緑化運動の展開である。緑化の取組は、国、地方公共団体、事業者、市民といったすべての主体の参画と理解がなければ成り立たない。その意味では、特に、地球温暖化防止の観点から緑化の持つ意味や意義というものへの関心を高めることが重要であり、そのような緑化運動の展開を促す取組である。

 

 

 

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