4. 各種実験によるA5083P-H32材の溶接入熱量と継手の耐力(継手効率)との関係
入熱管理の指針として活用し得る公表系統試験データは極めて少ないが、次の4資料が利用できるのでこれらに基づいて考察した。
1)「Al-Mg系アルミニウム合金加工硬化材の溶接継手強度及び耐食性」
高強度アルミニウム合金研究委員会-船舶用軽金属委員会第20回報告書(S58〜60年)
2)「アルミニウム合金継手熱軟化部の強度」
運輸省船舶技術研究所論文(H9.10)-構造強度部 北村 茂、佐久間 正明、材料加工部 松岡 一祥
3)「溶接熱影響軟化部試験結果外」
運輸省船舶技術研究所論文(H9.10)
4)「船舶用アルミニウム合金の溶接(4)」-(スカイアルミニウム(株)技術資料,1992)
蓑田 和之-船の科学 Vol.47 1994-8
これらの試験データを集約してみると、各試験条件(板厚、開先形状、溶接ワイヤ、溶接電流、電圧、溶接速度等)はほぼJISの条件内に納まっており(Fig.11.4)、その入熱量も大略Fig.11.5に示す範囲にある。
また、上記データ4)による溶接入熱と溶接継手の耐力との関係はFig.11.2に示す通りで、ミグ溶接では、最低でも15kgf/mm2以上となる。
板厚4mmの5083-H321材、ミグ(裏当て使用)及びティグ(裏当て無し)溶接。試験片標点距離50mm。入熱と耐力の関係をFig.11.2に示す。本図から、ミグ及びティグ溶接での継手耐力並びに継手効率は次のようにまとめられている。