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5. 溶接入熱/板厚×標点距離をべースとした継手耐力データの整理

 

引張り試験データには試験片標点距離(GL:ゲージレングス)がJIS標準の50mm以外のものが多い。GL50mmの場合には殆ど溶接部のみでのテストとなるが、GLが大きくなるにつれ母材部比率が大きくなり、それに伴い耐力も増加する。データ整理に当ってはこの点を考慮しなければならないが、運輪省船舶技術研究所ではこのGL影響を消去するため、指標として溶接入熱/板厚×GLを試用している。

 

この指標を使って、今回入手した全データを整理、グラフ化したものをFig.11.3示す。本図は、この指数をべースとした場合、計画溶接条件に於いての継手耐力がどのレベルになるかをマクロ的に知る為のものである。従って母材の成分、機械的性質、板厚、溶接条件等は一切無視したまま継手耐力値をプロットしてある。

 

全体傾向としてはほぼ或る巾の中に収まり、且つ溶接入熱/板厚×GLの値が増加するにつれサチュレートする傾向を示す。(最低約140N/mm2=14.3kgf/mm2)。

一方、我が国のルールではGL=50mmが基本であり、又小型アルミ船の外板厚さは一般に10mm以下であるから、溶接入熱の上限を仮に11,000J/?pとすれば、11,000/10×50=22となるから、最低でも150N/mm2(=15.3?sf/mm2)となり、5083-0材の耐力(13?sf/mm2)よりは大きい。又、8mm、8,000J/cmとすれば8,000/8×50=20となるから、最低155N/mm2(=15.8kgf/mm2)となる。

 

Fig.11.3 溶接入熱Q/板厚×GLと継手耐力の関係

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