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本研究の目的は日常診療で汎用されている投与量間での比較を行い、その降圧効果における食塩摂取の影響を明らかにするという点では意味があるものと考える。

年齢と降圧効果との関係では、アムロジピンの降圧効果は年齢にかかわらずは一定であったが、エナラプリルは年齢が増加するとともに、その降圧効果は減弱する傾向が示された。ACE阻害薬は腎から排泄されるものが多く、高齢者では腎機能が低下するのでACE阻害薬の降圧効果不十分のために増量すると、若年者に比し蓄積が生じやすいので、増量にあたっては慎重に行うべきであろう。アムロジピンは肝代謝型の薬物であり、年齢にかかわらず降圧効果が一定であることからも、特に高齢者における用量調節はACE阻害薬よりも容易である可能性が高い。

本研究は投与期間が4週間と短いため、降圧効果がプラトーに到達していない可能性がある。また尿中Na排泄量はの測定は観察期間中に一度実施しただけなので、薬剤投与期間中に食塩摂取量が変化し、薬剤の降圧効果に影響を及ぼした可能性も否定できない。しかしながら、日常診療の中で無理なく実施しある水準の結論を導き出す方法としては妥当であったと考える。

結論として、外来通院本態性高血圧患者においてアムロジピン5mg一日1回投与はエナラプリル5mgに比し、トラフにおける降圧効果は大であり、その降圧効果は食塩摂取や年齢の影響を受けなかった。エナラプリルも食塩摂取の降圧効果への影響は少なく、高食塩摂取において、拡張期血圧の低下がやや減弱する傾向が認められたのみであった。

本研究で明らかにされた降圧薬の特徴がへき地での高血圧患者の治療向上の一助となれば幸いである。

 

 

 

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