日本財団 図書館


community based dataでも、施設間の診断能力等の点から基礎心疾患の診断におけるバイアスが混入しうる。このため、初発欝血性心不全の基礎心疾患の調査において、我々はhospital based practiceをもとに検討を行うことにする。

今研究では、地域における唯一の中核病院で冠動脈造影を含む心臓カテーテル検査まで行える施設を選び、同様のレベルの診断の正確さを持つ3種類の地域(山間部、沿岸部、都市部)における欝血性心不全の基礎心疾患についてhospital based dataをもとに検討を行うことにする。

 

II. 対象と方法

A. 対象

山村(山間部)、漁村(沿岸部)では、その地域で唯一の中核病院を有する地域を選択した。山間部では熊本県の南部に位置する球磨郡内の球磨郡公立多良木病院(220床)を、沿岸部では龍ヶ岳町立上天草総合病院(200床)を選択した。都市部では県下で唯一の救命救急センターを備えた総合病院として熊本赤十字病院(490床)を選択した。

対象は1995年4月より1999年10月(熊本赤十字病院では1991年4月より1999年10月)までに3施設に初発鬱血性心不全で入院した症例である。3施設の循環器科では1995年4月より既に統一した入院患者データベースを作成し使用しており、これを元に調査する。

B. 方法

方法は、呼吸困難、食思不振等の心不全症状を呈する症例において胸部レントゲン写真にて肺鬱血を確認する。さらに問診・身体所見(Framingham criteria(8)に準じる)、血液検査、心電図、ホルター心電図、カラードップラー心臓超音波断層、経食道心エコー法、トレッドミル、心筋シンチ、冠動脈造影を含む心臓カテーテル検査にて、欝血性心不全であることと、基礎心疾患を同定する。

欝血性心不全・基礎心疾患・原因等については3施設の循環器科専門医で判定を合議で行うが、決定できない場合は原因不明とする。

C. 統計学的検定

統計学的検定は対応のないt test、一元配置分散分析、分割表分析(カイ2乗独立性の検定)、Kruskal Wallis検定、単回帰分析を使用した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION