B. 高齢慢性疾患患者の薬剤理解度向上についての検討
1. 対象患者
研究分担者5名の診療所に外来受診している患者さんの中で、3種類以上の薬を服用中で服薬習慣に問題のある高齢慢性疾患患者
2. 方法
封筒法により以下の3つのグループに分け、外来受診時に自記式アンケート調査を行う。
a. 薬のしおりだけ
b. 薬のしおり+残薬チェック
c. 薬のしおり+服薬指導+残薬チェック
3. 調査時点
調査開始前、次回再診時、次次回再診時、6ヶ月後再診時の4回
4. 調査内容
服用している薬剤種類、効能、用法の3点についての正解度をみる
5. 評価法
グループ別に服薬コンプライアンスの変化を時間軸で比較検討する
正解率をグループ別、時間別、年齢別、服用薬剤数別に比較検討する
III. 結果
A. 実態調査
675箇所にアンケート協力依頼し、515箇所より回答があった(返答率76.3%)。そのうち診療所廃止1箇所、休診中3箇所、協力辞退4箇所の計8箇所を除く507箇所の回答を解析データとした。
1. 診療所概況
1) 診療所勤務医師(診療所長)の年齢分布(表1)
30歳未満が40箇所(8.0%)、30代が129箇所(25.9%)、40代が121箇所(24.2%)、50代が94箇所(18.8%)、60代が60箇所(12.0%)、70歳以上が55箇所(11.0%)であった。都会の開業医師の平均年齢の高齢化が叫ばれているが、国保診療所においては50歳以下が約6割を占め若手にシフトしていた。
2) 診療所のベット数(表2)
保健所登録の数字ではなく、実態で回答していただくと、無床診療所427箇所(84.6%)、有床診療所78箇所(15.4%)であった。