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高齢化率は約17%で、青森県の平均に対して1%ほど低い。八戸市のベッドタウンとして、新興住宅街の拡充を進めており、一部の地区は他市町村からの入居者が多い。主な産業は農業・漁業から第2次・3次産業に移行してきている。数年前に隣町に大型ショッピングセンターが建設された。保健・福祉・医療の整備は県内では特に介護サービスの面で充実した地域である。(表1)

比較地域は同県内の人口約8800人のA村で、今のところ医療施設には恵まれていない。隣接する市に中核病院があるが、同市まで車で20分から1時間を要し、冬場はさらに約1.5倍の時間を要することがある。高齢化率は約20%と高く、要援護高齢者(介護保険制度の要支援、要介護高齢者)の絶対数は百石町とほぼ同数である。医療施設は村内にある診療所1件のみで介護サービスは調査開始時点ではほとんどない状況にあった。(表1)

 

2 調査方法と解析

両地域で悉皆調査により、65歳以上の高齢者を対象に行われたアンケート調査の結果をもとに解析した。アンケートは調査員が指定の調査表に従い自記式、聞き取でデータを得たものである。内容は、表2、表3に示した各種サービスの利用状況、サービスの認識、今後の利用意向を問うものであった。これらのデータに、サービス提供施設から得たサービス利用状況(デイサービス、訪問看護、ホームヘルプサービス、往診、訪問リハ)、世帯状況、主な介護者の続柄、寝たきり度、痴呆性老人自立度、世帯状況、年齢、介護保険制度の要介護度をアンケートと聞き取り、公的なデータをもとに漏れなく抽出し加えた。これらのデータは個人名が漏れぬように管理した。解析は2地域の利用状況、周知度、利用意向(ニーズ)の違いをχ2検定で検定し考察することとした。解析には統計解析ソフトSPSSを用いた。

在宅ケアサービス利用の判断に与える影響について上記データとの関連を、同地域(百石町)内の要援護者について解析した。ここでいう在宅ケアとは、ホームヘルプサービス、デイサービス、デイケア、訪問看護、訪問リハビリ、往診を意味する。解析には統計解析ソフトSPSSを使用した。要援護者の定義を明らかにし妥当性の高いものとするために2000年1月までに介護保険認定審査会において要支援、要介護認定を受けたものとした。予定の約50%が終了している。また、高齢者で介護が必要と思われる高齢者には、施設、町役場、病院、地域住民が介護認定を受けるよう薦めるシステムがあり、申請漏れはないものと考える。

 

3 結果と考察

表1に示すごとく、2地域でサービス提供体制に大きな較差があり、それらが実際に地域におけるサービス利用体系にどのような影響を与えているかを推察することとした。表2は、65歳以上の高齢者の悉皆調査によるデータで、表3は、要援護者を層別したものである。両地域とも65歳以上の対象数は約1380人から1390人とほぼ同数で、要援護者の数も150人と166人とほぼ同数である。サービスを「利用している」ものの、それ以外のものに対する割合を検定した結果は、「利用状況」の検定(χ2検定)である。同様に、周知度として、サービスの既知者(「利用している」ものと「利用していない」もの)と「知らない」ものの割合を検定した。また、利用意向度は「今後利用したい」ものの他のものに対する割合を検定した。表2のごとく、一般高齢者という母集団でみると数が多いために地域によるサービス利用状況に差異がほとんど認められない。在宅介護支援センターの利用は百石町がA村よりも有意に利用率が高いが全体に対する割合は5%程度と低く、全体に対して実質上大きな差はなかった。

 

 

 

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