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対象は、1999年7月の住民基本台帳から得られた町内在住の65歳以上の人である。調査は、松林ら11)の香北町健康長寿研究で用いられたと同様の自記式のアンケートを用いて行われ、調査表は町の保健センター・保健衛生課を通じて、調査の意義と記入要領を説明した文書とともに調査の要旨を理解しうる回答可能な全員に配布された。解析は全回答のうち回答内容の不備であったものを除いた全員を対象とした。

介護状況に関しては、被介護者の有無、介護年数、介護負担度(Visual Analogue Scale:以下VAS、100mm線分の左端をVASが最低の状態(非常に負担:0)〜右端をVASが最高の状態(全く負担はない:100)と定義した尺度)について質問した。主観的幸福感についても、VAS(大変不幸:0〜大変幸福:100)を用いて評価した12)13)

背景因子については、社会生活状況やライフスタイルとして家族仲(夫婦や家族、子供、孫との仲に対する満足度をVASを使って回答、大変不満:0〜非常に満足:100)、友人や親戚との人間関係(人間関係に対する満足度をVASを使って回答、大変不満:0〜非常に満足:100)、経済状況(現在の収入に対する満足度をVASを使って回答、大変困っている:0〜大変満足:100)、生活習慣として地域行事への参加、運動や仕事への従事についても質問した。さらに主観的感覚として健康状況(重病:0〜大変健康:100)、食欲状況(全く食べられない:0〜食欲旺盛:100)、睡眠状況(全く眠れない:0〜完全に熟睡できる:100)、毎日の気分(大変ゆううつ:0〜非常に気分壮快:100)、記憶状況(大変おちた:0〜ほとんど変わらない:100)、生活への満足(大変不満:0〜非常に満足:100)についてもVASを使って質問した。

結果は平均値±標準偏差で表し、統計学的処理はSPSS6.1(Statistical Package for Social Science Inc, Illinois, USA14))を用いたコンピュータにより行い、比較検討にはunpaired Student's t test, χ2test を用い、危険率5%未満を有意差ありとした。介護の有無を含む各種背景因子と主観的幸福感との関係については、主観的幸福感を従属変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。

 

B. 事例調査

1. 対象と方法

町立野村病院(120床)は愛媛県東宇和郡の地域中核病院であり、内科のほか、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻科があり、内科は小児から成人までの一般内科系疾患を対象とする総合診療的役割を担っている。さらに当院は、リハビリテーションにも力を入れ、訪問診療、訪問看護サービス等の在宅医療も積極的に行っている。同敷地内には在宅介護支援センターおよび老人保健施設(デイケア)を併設し、町内には社会福祉協議会(ヘルパー派遣)、特別養護老人ホーム(デイサービス)も有している。

 

 

 

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