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国連勧告によれば、SADTと管理温度、緊急温度は表1.のように分類される。

 

表1. 管理温度と緊急温度

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国連勧告のSADT測定としては、現在次の4試験法が推奨され実施されている。

H.1 United States SADT test

H.2 Adiabatic storage test(AST)

H.3 Isothermal storage test(IST)

H.4 Heat accumulation storage test

 

これらの試験法は、いずれも試料量が多い方が実スケールの状態をより反映するという国連流の考え方にたっており、最も少ないもので約400gの試料量を必要としている。

しかし、近年特に日本国内においては高付加価値商品の開発が進み、グラム単価が数万円するような製品に対して上記のような試験を実施すれば、試験費用よりも材料(製品)の調達及び試料製品費用が異常なものになってしまう例も少なくなく、また試験を実施する立場からも、安全面を考えて可能な限り少量で且つ感度の高い試験が必要となってきている。

本研究の対象であるARC(Accelerating Rate Calorimeter)測定は1試験当たりの試料量が約1〜5gと少なく、数日で測定が完了する利点を有し、本測定によりSADTの推測が可能であるとすれば、その効果は大なるものと考えられる。

このために、

1]断熱下での試験が少量の試料量、且つ短期間で測定できるARC装置で求めた予測値とSADT(UN記載値及び文献値)との相関。

2]SADT決定までのスクリーニング試験としての機能をARC測定が有しているかの2点についてARC測定を行い、現在の国連勧告による試験との整合性、国連勧告の試験を実施する上での問題点を明らかにしようと試みた。

 

 

 

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