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第4章 考 察

 

4.1 今年度成果の概要

 

4.1.1 解決又は終了した課題

(1) 標準的試験装置及び試験器具の製作

(2) ASTM例示鋼及びアルミニウム試験片の製作

(3) 耐アルカリ性試験液用器具の検討

(4) ASTM方法に準拠した試験実施手順の検討

(5) 試験実施課程で解決された事項

1]下位置にある試験片への液だれ対策:試験片を120度ずらす事で解決

2]還流液の試験片に与える影響対策:試験片上部に、傾斜をつけたガラス製円盤を付けることで解決

3]アルカリ性試験液に対する対策:テフロン栓、テフロンスリーブレステーパー、メチルペンテン樹脂容器等の採用により解決

 

4.2 試験方法の問題点及び継続課題

 

4.2.1 ASTM記載内容の問題点の検討

(1) 試験液の減少対策:

フレッシュ試験液の補充が述べられているが、腐食量を増大させる効果がでる。水分の補充で液量を維持することの方が実務的であると考えられる。但し、蒸発成分に試験液成分が含まれるときはこの限りではない。試験方法であるから何らかの手順を試験基準として盛り込むべきである。

(2) 化学的処理の実施問題(資料-No.2参照):

ブランク補正が記述されているが、地金に与える腐食と、錆で表面を覆われた試験片に与える腐食とは効果が異なる、一様にブランク量の削除で解決とはいかない。化学的処理をしない方が実務的であり、やむをえず行う時も試験片のみを最小時間処理することで対応すべきと考える。

(3) 錆除去の方法・程度についてはASTMでは測定者個々の判断に委ねており、何らかの基準が必要と考えられる。今回の検討結果では、測定者個々の判断に基づく錆除去の程度や時間に測定値が影響され、化学的処理を行う事が結果を、より腐食度大の方向に導くものと判断された。

 

4.2.2 調査研究実施過程に生じた問題点の検討

単純酸・アルカリ性試験液の濃度が濃すぎたので、基準値に近い腐食量が得られるであろう1%程度の濃度溶液をめどに継続試験を実施し、基準データの蓄積をはかる。

 

 

 

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