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1]化学的除去剤としては金属地金に対する腐食性の少ない有機酸であるクエン酸ニアンモニウムを採用した。その他の処理剤は明らかに金属地金腐食性が強いので使用は見合わせた。

2]アルミニウム試験片については物理的除去のみで充分であったが、化学的除去の影響を検討するためにあえて実施した。写真のみの掲載とする(写-36・38・40・42参照)。

3]鋼試験片に対する化学的除去の結果を下記する。

a)硝酸溶液(3 V/V %)の鋼試験片(写-35・37参照)

:試験片の状態;黒色着色錆部分は除去できた。

b)塩酸溶液(3 V/V %)の鋼試験片(写-39・41参照)

:試験片の状態;黄色着色は除去出来た。

(2) 単純酸・アルカリ液腐食試験片に対する化学的処理の考察

資料-No.2 に記載されているように、少ない量であるがブランクによる質量の減少が認められた。但し、錆に対する減少量と地金に対するブランクは、地金部分の接触面積の相違等により当然異なり、単純な補正は無理と考えられる。効果は認められるが、影響を補正できないのであれば補正を実施しないほうが安全であると考察された。錆を全部除去することだけが目的であれば話はまた別の展開となる。

 

3.7.4 腐食生成物を除去する電気的洗浄方法

:ASTM Designation: G1-90(Reapproved 1999),

ELECTROLYTIC CLEANING PROCEDURES FOR REMOVAL OF CORROSION PRODUCTS.

(1) 鋼については次のいづれかの方法による。

1](75g NaOH+25g Na2SO4+75g Na2CO3)/ を20〜25℃で20〜40分作用させる。陰極 100〜200 A/m2電力量、陽極は炭素、白金またはステンレスを使用。

2]{28 ml硫酸(密度 1.84 g/ml)+0.5 g抑制剤(diorthotolyl thiourea orquinoline ethyliodide or betanaphthol quinoline)}/lを75℃で3分間作用させる。陰極2,000 A/m2電力量、陽極は炭素、白金または鉛を使用

3]クエン酸ニアンモニウム100g/lを20〜25℃の温度で5分間作用させる。陰極100A/m2電力量、陽極は炭素または白金を使用

(2) アルミニウムについては次の方法による。

20g NaOH/lを20〜25℃で5〜10分間作用させる。陰極300A/m2電力量、陽極はS31600ステンレスを使用

 

3.7.5 錆の除去方法について、検討手順の一例

1]予め物理的洗浄法で錆及び付着物の大部分を取り去る。その際、地金の削除を避けるため柔らかい研摩剤やジェット水流及びブラシ・たわしの類で行う。

:ナイロンたわしは実務において非常に有効である。

2]1]の処理後も付着物の残る試験片は、上記化学的洗浄法の内、適当な化学溶液により錆を溶解除去する。また、電気的洗浄法を併用することも可能である。

:この操作で付着物は取れないまでも軟化する。

3]化学的処理後に残存する錆及び付着物を物理的洗浄法で確実に取り去る。

:但し、多くの場合ナイロンたわしの使用で十分である。

4]実行した洗浄方法の詳細を測定報告書に記載する。

 

 

 

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