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第3章 金属腐食性試験方法の検討

 

3.1 試験装置及び試験片の検討

 

3.1.1 試験装置の検討と製作

1] 恒温槽(写-9〜10参照)

:容量・・・・・・・64リットル

:槽内寸法・・・・・W500×D400×H350(mm)

:温度分布・・・・・±0.02℃

試験中の温度要件は55±1℃であり、精度保持が通常の恒温槽では困難であり、撹拌機付き大容量の当該機器の選定となった。槽内寸法は、気相中での試験片の温度保持を考慮して、試験容器蓋の直近まで恒温槽液面が来るように、深さを基準に選択した(写-9及び11参照)。

また、試験基準に整合させるため、2個並列に試験容器を設置した。なお、転倒及び傾き防止のため、上面密閉蓋から下方向に伸びて試験容器を3方向から支持、固定する板バネを恒温槽に取りつけた。

2] 試験容器(写-13参照)

約2リットルの試験液を入れた時、容器高さの半分まで試験物質液面が来る容積とした。アルカリ性試験液対策として、温度計の保持をテフロン栓とし、ガラス栓及び容器すり合わせ部分にはテフロンスリーブレステーパーを装着した。

なお、容器製作の注意点として試験片吊り下げ具が安定して直立するように、容器内低面は平滑且つ、水平面に仕上げた。

3] 試験片吊り下げ具(写-12及び14参照)

試験片を伝わった試験液が、下の試験片に垂れ落ちないように、120°ずらして3本の枝を出し、試験片を垂直に吊り下げる事とした。また、同様の理由で上部に円盤状覆いを付け還流液の影響を防止した。

 

3.1.2 試験片の検討

1] アルミニウム材質(資料-No.3参照)

国連勧告に例示されている材質は ISO 7075-T6 又は、AZ5GU-T6 であるが、調査の結果JIS合金番号7075・記号A7075P・形状、板が例示材質相当品と判明した。当該材質はアルミニウム合金中最高の強度を持ち航空機用材、スキー等に用いられているが圧力容器用としての記載はなかった。

この材質を使い、切り板加工品として40mmφ、8mmt及び3mmtを切り出し、上部より10mmの中心位置に5mmφの穴を開け、円盤状吊り型試験片を作成した。(写-16参照)

2] 鋼材質(資料-No.4参照)

国連勧告に例示されている材質は P235(ISO 9328(II)-1991)相当品であるが、鉄鋼連盟に問い合わせた結果、日本に同等品は無いが使用目的の同等品はSPV235であるとの回答を得た。

 

 

 

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