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A.2.6 考察

本文4.1節(別紙4)に示した通り、Boakaine鉱はPomalaa鉱と比較して、大きな粒子を多く含む。図2.5.2より、大きな粒子を多く含む試料では、水分が低い場合、即ち剪断強度が大きい場合、篩い分けを行わない最大円錐貫入力の最低値であっても、最大粒径19 mmの試料の代表円錐貫入力より大きな値を示すことが分かる。こうした試料では、剪断強度が大きくなると、円錐貫入試験の際に円錐が直接大きな粒子に衝突しない場合であっても、大きな粒子による円錐の貫入に対する拘束が最大円錐貫入力に影響を及ぼすと考えられる。よって、粒径分布等の試料の性状によらない代表円錐貫入力のクライテリアを決定するには、篩い分けを行う必要があると言える。

本文3.3節に示した通り、大きな粒子による円錐の貫入に対する拘束の影響は、試料の最大粒径を19 mmに調製した場合でも見て取れるが、試料の篩い分けを行わない場合、大きな粒子の影響がさらに強く表れると言える。

最大粒径100 mmのPomalaa鉱及びBoakaine鉱の水分値の上限は、貨物のパイルのスロープの高さを5 mとした場合、付録3に示した通り、それぞれ28.9 %及び21.2 %であった。Pomalaa鉱については、この水分値に対応する代表円錐貫入力は、その取り方にもよるが、約30〜40 kgfであることが図2.5.1より分かるが、Boakaine鉱については、データが無いため、水分値に対応する代表円錐貫入力は求められない。よって、A.2.2節で述べた通り、本研究では、篩い分けの有無による最大円錐貫入力の代表値の差異が試料により異なることに基づき、篩い分けが必要性と判断した。この判断は、「最大粒径を(19 mmに)調製すれば、代表円錐貫入力は試料によらず一定の範囲におさまる」との仮定に基づいている。一方、本研究により開発したニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法、即ち、最大粒径を19 mmとした場合の円錐貫入試験に基づく代表円錐貫入力は、本文4.5節及び4.6節で述べた通り、一定の範囲に収まっている。このことから、振り返って、「篩い分けが必要」との平成10年度の時点における判断は正しかったと言える。

 

 

 

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