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第1章 調査研究の目的及び概要

 

1.1 調査研究の目的

本委員会は、DSC小委員会への対応を検討するために海上運送に関する専門家により構成された委員会を開催し各国からの提案文書を詳細に検討し、わが国の意見をとりまとめ、同小委員会へのわが国意見をより反映させるために専門家を同小委員会及び作業部会へ派遣する。

また、海上運送上問題となっている荷崩れの危険性があるニッケル鉱を対象とした「粘着性のばら積み貨物の安全運送に関する研究」を行い、実際の荷役現場における荷崩れ評価試験法の実用化を計り、もって危険物及び固体ばら積み貨物海上運送の安全性向上に資することを目的とする。

 

1.2 調査研究の概要

1.2.1 DSC 5等への対応

平成12年2月に開催されたDSC小委員会第5回会合(DSC 5)においては、IMDG Codeの改正、BC Codeの改正等多くの事項について審議された。次章に述べる通り、本委員会は、DSC 5に向け、各国からの提案に対して我が国意見を集約し、積極的に我が国意見を反映させるため専門家による委員会及び部会を開催し、提案文書の内容を詳細に検討し我が国の意見の集約に協力した。また、専門家をDSC小委員会等へ派遣し、必要な情報を収集するとともに我が国の意見の反映を図った。

特に以下の項目については詳細な作業・検討を実施した。

(1) 次亜塩素酸カルシウム(水和物)の運送方法の検討及び運送要件との関係における該貨の評価

(2) 液状化物質判別法Correspondence Group(C.G.)への対応

(3) SLF(復原性・満載喫水線・漁船)小委員会よりDSC小委員会への検討要請事項である「非風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船における危険物の積付・隔離要件」

(4) 新様式IMDG Codeの強制化の範囲

検討の結果、本委員会の検討により以下の提案文書案が作成され、運輸省海上技術安全局を通してDSC 5に提案された。

(1) DSC 5/INF.6 : 次亜塩素酸カルシウム(水和物)の熱的安定性試験結果

(2) DSC 5/5/8 : 液状化物質判別法C.G.の報告

(3) DSC 5/2/1 : 非風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船における危険物の積付・隔離

これらの件に関する我が国の主張は、DSC 5において概ね了承された。なお、決定は平成12年5月の第72回海上安全委員会においてなされる。

1.2.2 調査研究の実施

平成9年度より本年度までの3ヶ年においては、固体ばら積み運送中に荷崩れの危険性があるニッケル鉱を対象とした「粘着性のばら積み貨物の安全運送に関する研究」を完結し、積荷の現場で実施できる「ニッケル鉱荷崩れ危険性評価試験法」を開発した。結果は第3章及び別冊報告書にまとめた。なお、ニッケル鉱の安全運送方法については、次年度以降も引き続き検討する予定である。

 

 

 

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