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D.ノルウェー

ノルウェーのトロンハイム市は地勢的に谷につくられ、市民の職場は谷底部分、住居は周囲を取り囲む丘陵地にある。同市では、交通手段を車から自転車に切り替えるよう働きかけてきたが、自転車利用者にとっての問題は帰りの坂道。そこで93年に「サイクルリフト」とよばれるユニークな自転車搬送手段を導入した。

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<海外写真4>ノルウェー・トロンハイム市の「サイクルリフト」

「サイクルリフト」は、路肩に沿って設置されたケーブルに踏み板を25メートル間隔で取り付け、電力で牽引する仕組み。サイクリストは自転車に乗ったまま片足を踏み板に置くことで、丘の上まで押し上げられていく。リフトは1度に5人まで搬送でき、1時間当たりの輸送能力は300人。建設費用は1メートル当たり約1300ドル。93年から4年間で10万人が利用し、けが人は発生していないという。

現在、欧州の数都市が「サイクルリフト」の設置を計画している。坂道の多い日本でも、「サイクルリフト」は有効とみられる。

E.米国

米サンフランシスコ〜シリコンバレー間を結ぶカルトレイン旅客列車は、92年から自転車の持ち込みを開始した。当初、各列車に自転車を乗せられるスペースは4台分だったが、現在は24台分に増加した。中には、自転車持ち込み用車両を2両連結し、合計48台の収容能力をもつ列車もある。このほか、サンタクララ・バレー旅客列車でも、車両内に自転車ラックシステムを設けている。

このほか米国では、バスへの自転車積載プログラムも積極的に展開されている。アリゾナ州フェニックス交通局は、市バス350台の前方に自転車2台を乗せられるラックを設置。これを受けてシアトルのキング郡交通局も、1200台のバスにラックを装着した。

 

 

 

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