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小規模事業者には2001年10月、大規模事業者には2000年10月の適応期限が設けられている。

運輸省では、長距離バスを運行する会社が整備にかかる費用の補助について、1999〜2003年度にかけて、TEA21により、486万ドルを承認している。

米国では公共交通事業者は高齢者・障害者のための専用の交通手段であるパラトランジットを提供しなければならないことが、ADAにより規定されている。パラトランジットは公共交通がアクセシブルでないために利用できない、近くにアクセシブルな公共交通が無く利用できない、重度の障害のためアクセシブルな公共交通でも利用が難しい等の理由がある場合に、医師や専門家の診断を受けて利用資格を取得して利用するものである(利用資格申請フォーマットは資料7参照)。

公共交通事業者が地域のタクシー会社、バンサービス会社、コミュニティ・トランスポーテーション組織、非営利組織の交通プログラムなどに委託して運行を行っている。通常はリフト付のバン車両がドア・ツー・ドアで提供される。近くにアクセシブルな公共交通がある場合はその停留所(駅)まで提供される。また、利用方法にもバリエーションを持たせ、自宅近くの路上から乗降して一定のルートを運行する(カーブ・ツー・カーブ)ような、必ずしもドア・ツー・ドアでないタイプや、一定人数でまとまって利用するグループ利用など、輸送の効率化を図っている事例も多い。最近は歩行が可能な高齢者・障害者も多く、車いすを使用していない場合も多いので、セダンタイプの車両による実施も増えている。これにより車両の取得・維持費用は低減している。

利用運賃はADAの規定により通常考え得る公共交通を利用した場合の2倍を超えることはない。したがってバスや鉄道の利用よりは高くなるがタクシーよりは安い。利用の申し込みは利用資格者が登録している配車センターに電話するだけである。14日前からの予約に対応するが、直前の予約にも対応できるように、輸送キャパシティの50%程度に留めるのが一般的である。現状では1日前の予約は可能な場合が多いが、当日予約は行えない事業者がほとんどである。また予約時間についても利用者の希望を前後1時間の範囲で変更することが事業者には認められている。パラトランジットが多くの移動制約者の市場を開拓してきたことによって、移動が身近なものになったことは確かであるが、需要に対応しきれなくなっている現状がある。また、膨れ上がったコストも大きな課題である。

以下で述べる各公共交通事業者のパラトランジットについても基本的にはいま述べたシステムと同じように運行されていると考えてよい。

 

3]アメリカ障害者法(ADA)の適合状況の評価

 

制度(ADA)の適合状況の検査は、各地方自治体、郡、州の法律に合致していることを基準としている。自治体ごとの法律はADAに対応しているので、自治体ごとの検査を通れば、ADAの検査も同時に完了することになる。NASDAC(全米建築協会の基準)等も参考にされる。その他のプロジェクトの計画書についても、必要な場合はFTAで点検することがある。

 

 

 

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