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7]トラック運転手の労働条件の改善・高齢化への対応

長距離トラックを中心とするトラック運転手は高齢化が進展しつつあり、今後の少子高齢化の進展にともなって労働力の確保が困難となってくる可能性がある。

こうしたことから、3]に述べたモーダルシフトの促進や5]に述べた無人航送の促進等により、長距離運転業務そのものの削減を進めるとともに、運転手の休憩施設の整備やITS(高度道路交通システム)の導入による運転業務の負担軽減などにより、トラック運転手の労働条件の改善を図ることが必要である。

 

8]フェリーダイヤの見直し・フェリー増便の検討

農産物(青果)の輸送は、各生産者の収穫や各農協での選果、広域集配送センターでの積み換え等により、フェリー利用の場合夕方以降の出港が求められる。京浜航路においては既に出港時間が1時間遅らせられ、宮崎港発20:00、細島港発20:45となっているが、それでも県南・県北地区を中心として、フェリー出港に間に合わず、陸送している場合がある。大阪航路については宮崎港発19:10であるため、フェリー利用の制約はさらに大きい。

また、特積みトラックの貨物(路線貨物)は、一般にターミナル出発が20〜22時頃であるため、これに合わせたフェリーダイヤとするためには、さらに出港時刻を遅くする必要がある。

一方、現在、フェリー航路の川崎港着は16:30、大阪港着は7:30であるが、出港時刻を遅らせれば到着時刻も遅くなるため、現在フェリーを利用している品目の輸送に影響が出る可能性がある。

こうしたことから、輸送ニーズの動向に留意しながら必要に応じてフェリーダイヤの見直しを行っていくとともに、現在フェリーを利用していない貨物も含めた多様な輸送ニーズに対応するためには、フェリー増便が有効である。増便にあたっては当然輸送需要の見極めが必要となるが、その際には、規制緩和による需給調整規制の廃止を踏まえ、9]に述べるRORO船の投入も含めて検討することが望ましい。

 

9]コンテナ船、RORO船航路の検討

宮崎県において、従来より、関東方面の定期航路はフェリー1航路のほかにRORO船航路があるが、寄港回数が少なくなっており、関西方面もフェリー航路と在来船航路しかなく、コンテナ船やRORO船の航路は運航されていない(輸出入コンテナを対象とした内航フィーダーを除く)。一方で、1999年12月より油津港において大阪・東京と結ぶRORO船航路が新設されるなど、航路網の充実も行われている。フェリーは定時性が高い、荷役時間が短いといった利点はあるが、コンテナを輸送する場合にもオンシャーシ輸送となるため、コンテナ船やRORO船と比較して積載能力が低く、相対的に輸送コストが高くなる。

こうしたことから、フェリーよりも低コストの海上輸送に対するニーズも高いため、今般開設されたRORO船航路の活用を図るとともに、コンテナ船、RORO船(もしくは両者の併用船)による航路の開設可能性について検討を進めることが望まれる。その際には、既存航路の途中寄港や、フェリー航路のRORO船化等も含めて、多様な可能性を検討していく必要がある。また、現状では、京浜・阪神等における港湾荷役の時間制限がダイヤ設定の制約となっていることから、規制緩和による港湾運送事業の変化にも留意しながら、必要に応じて特に大都市圏側相手港における港湾荷役時間・曜日の拡大や港湾荷役費用の低減に向けて働きかけを行っていくことが望まれる。

 

 

 

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