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5]荷主企業の物流共同化・ネットワーク化の促進

物流効率化の観点から、各業種内あるいは異業種間での物流共同化が進展しつつあるが、海上輸送を活用した物流体系の構築という観点からも、県内の製造業者、卸売業者、小売業者等が貨物を集約化し、輸送ロットを拡大することにより、海上輸送を活用した物流効率化が図られる可能性がある。特に、メーカーから卸売業者や小売業者への配送において、物流拠点を経由せず、直送化する動きがある中で、県内荷主企業が貨物を集約化することにより、大都市圏から宮崎県および南九州各地への輸送ロットを拡大し、直送化を促進することが望まれる。そのためには、工業団地等への企業の集積や、情報システムを活用し、荷主企業間の物流共同化、ネットワーク化を促進するとともに、さらにこれを進めて新たな企業システム・企業間システムの構築に向けた構造改革の推進が期待される。

 

6]中小トラック事業者のネットワーク化と無人航送化の促進

現在のフェリー航路は有人航送率が高く、大量輸送という海上輸送の効果が十分に活用されていない。有人航送の場合、フェリーを利用しても無人航送と比較して人件費削減効果が小さく、トラック運賃が低水準にある場合にはフェリーを利用する方がかえってコスト高となることもありうる。

無人航送化が進まない要因としては、出発時点で帰り荷が確定していないこと、帰り荷の到着地が北部九州であること、相手地域側での集配体制を持っていないこと、大阪までフェリーを利用して関西、中部、関東等の複数箇所に配送すること、などがあげられる。

近年、オンラインで求貨・求車情報を提供し、貨物・車両の相互融通を支援するネットワークKITの加入率が高まりつつあり、その加入のための協同組合も設立されるようになっている。また、ポケットベル(ポケベル)を活用して同様に貨物・車両の相互融通を行う取り組みも一部で行われている。

こうしたことから、南九州側と大都市圏側のトラック事業者間において、これらの情報システムを活用した貨物・車両の相互融通を行ったり、相手地域側での集配サービスを相互に提供するなどのネットワーク化を行うことにより、無人航送化の促進、実車率の向上等を図っていくことが期待される。

また、東京都でトラックの乗り入れ規制を検討する動きがあるなど、環境問題との関連からもトラック事業者を取り巻く環境は厳しくなっており、この観点からもトラック輸送の効率化を進める必要がある。

なお、南九州の中小トラック事業者が帰り荷の確保を共同化して行うことにより、帰り荷の手配を行う特積みトラック事業者や貨物取扱事業者に対する価格交渉力を高めていくことも考えられる。

 

 

 

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