日本財団 図書館


3]陸送貨物のモーダルシフト促進

関東、関西等の大都市圏と宮崎県間で輸送される貨物のうち、フェリー等の海上輸送が利用されていない貨物については、多様な海上輸送網の構築(8]、9]参照)を進めるとともに、現在の航路網を前提とした中でもさらなるモーダルシフトの促進を図っていく必要がある。その際、大阪航路は首都圏まで、京浜航路は北関東までがフェリー航路の利用対象地域となっていることを踏まえて、対象貨物を検討していく必要がある。

具体的には、特積みトラックの貨物(路線貨物)でも比較的早く仕立てられ、フェリー出港に間に合う貨物や引越貨物、トラック事業者の選択により陸送されている農畜産品などのフェリー利用を促進していくことが考えられる。

また、砂糖、製材、鋼材など従来は在来船を利用していた貨物も、小ロット化の進展等によりトラック輸送への転換が進んでいることから、トレーラーやコンテナの活用により、これらの貨物が今後もフェリー等の海上輸送を利用できるような取り組みを行うことが求められる。

 

4]農畜産物出荷の集約化と海陸一貫輸送体制の構築

宮崎県から大都市圏に出荷する農産物の輸送において、消費者ニーズの多様化に伴う小ロット化、市場外流通の拡大に伴う量販店等への直接納入などにより、1台のトラックやコンテナを複数箇所へ配送するケースが増加している。

宮崎県経済連においては、広域集配送センターの設置により海上コンテナを活用した農産物の集約出荷を推進しており、輸送コストの削減が図られている。しかし、現在ではフェリー出港時刻の制約等により、集約化は宮崎市周辺など一部の農協にとどまっている。

今後は、多様な海上輸送網の構築や道路網整備の進展に合わせ、集約出荷を拡大していくことにより、海上輸送の活用や大都市圏での配送の効率化を進めていく必要がある。

また、集約化が進展すればロットを大型化することが可能となるため、現在使用している5トンコンテナに加え、20フィート・40フィートの大型コンテナやトレーラーの活用も検討していく必要がある。

大都市圏での配送については、複数箇所への小ロット配送に対応するため、大都市圏側に物流拠点を設置することも考えられる。例えば、宮崎県側では首都圏向け農産物を各農協毎にフェリーで川崎港に輸送し、港湾近くの物流拠点で県内の農産物を集約化し、配送先毎に積み合わせて配送する形態が考えられる。宮崎県ではかつて川崎港フェリーターミナル近接地に物流拠点を設置したが、建物の老朽化や近年の物流変化に対応できていないことから、現在は休止している。今後は、既存施設・用地の活用も含め、大都市圏における物流拠点の必要性とそのあり方について検討していく必要がある。

併せて、宮崎県側の港湾における施設整備や品質保持のため冷蔵コンテナ等の輸送容器や船内設備等のあり方についても検討していく必要がある。

なお、県産品の県外出荷については、各輸送機関の物流関係者、県経済連、県漁連、市場関係者らが参加する協議会が設置されたことから、その取り組みを促進する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION