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3]地場中小トラック事業者の経営基盤強化

宮崎県をはじめ南九州の地場トラック事業者は、農畜産品の輸送における主要な担い手であるが、事業規模が零細な事業者が多い。このため、全国的な輸送体系の構築が困難であり、その結果、無人航送による海陸一貫輸送体制が構築できず、帰り荷が確保しにくかったり、大手トラック事業者の下請けとなるなど、経営基盤の強化が十分に図られていない場合が多い。

農畜産品等の効率的かつ安定的な輸送体系を構築していくためには、地場中小トラック事業者の経営基盤の強化を図っていく必要がある。

 

(2)宮崎県における国内物流効率化に向けた課題

(1)を踏まえ、宮崎県における海上輸送網を活用した国内物流効率化に向けた課題を整理する。

 

1]大都市圏から宮崎県内へ輸送される雑貨類の直送化促進

宮崎県と関東方面との間における片荷を解消していくためには、北部九州経由の貨物を宮崎直送に転換していく必要がある。

一方、九州においては、福岡・鳥栖等の北部九州への物流拠点の集約化が進展している。従来、宮崎・鹿児島両県は、他県と比較して福岡への依存度が比較的低かったが、道路整備の進展による所要時間の短縮により、福岡集中が進行しつつある。このため、九州内における貨物流動においても、南北九州間のアンバランスが拡大している。

しかし近年では、物流コスト削減の観点から、荷主企業から量販店等の大口需要家への輸送において、地域ブロック毎の物流拠点を経由せず、工場から各地域への直送化を拡大する動きもある。

こうしたことから、食料品、日用品、家電製品等の雑貨類の輸送において、大都市圏からの宮崎・鹿児島両県を中心とした南九州への直送化を促進し、特に対関東方面における片荷の解消を図る。

 

2]情報化の進展等に対応した宮崎県の物流拠点機能強化

九州において、福岡・鳥栖等の北部九州への物流拠点の集約化が進展する中で、北部九州とは別に南九州向けのサブ的な物流拠点を設置する可能性の高い業種・品目等の検討を行い、宮崎県においてそうした業種・品目等の配送機能の強化を促進していく。その際、北部九州より低コストで仕分け・加工等の作業を行うことができれば、物流拠点設置の可能性が高まる。

特に、今後インターネット上で消費者に直接商品を販売する形態が増加すれば、各メーカーは製品を小売店に「配送」するのではなく、各家庭に「配達」する必要が生じてくる。この場合、小ロット化がさらに進展し、ピッキング・積み込み等の荷役作業の能力や配送エリアの問題から、福岡・鳥栖等の北部九州の物流拠点では対応しきれなくなり、南九州の物流拠点の必要性が高まるものと考えられる。さらに長期的には、国際物流面における東南アジア方面と結ぶ高速貨物船(フェリーを含む)の導入を図り、東九州自動車道の整備による交通アクセス条件向上の効果を活用し、九州の輸入拠点として北部九州への貨物の流れを創出していくことも考えられる。

 

 

 

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