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第6章 宮崎県下における海上輸送網を活用した物流効率化に向けた課題

 

ここでは、これまでの検討に基づき、宮崎県における物流効率化に向けた課題を国内・国際別に抽出する。

 

1. 宮崎県における国内物流効率化に向けた課題

 

(1)宮崎県における海上輸送網を活用した物流効率化の方向性

課題の整理にあたり、宮崎県における海上輸送網を活用した物流効率化の方向性を整理する。

 

1]海上輸送を活用した物流体系の構築

宮崎県は、農畜産品の出荷を中心として大都市圏の結びつきが強いため、大都市圏との間に効率的な輸送体系を構築していくことが重要である。宮崎県と大都市圏との輸送においては、地理的特性により北部九州を経由する陸上輸送と比較して海上輸送は輸送距離が短くなるため、物流効率化にあたって海上輸送を活用していくことが有効である。

しかしながら、荷主ニーズに対応した海上輸送網の構築が不十分であることや、景気低迷や荷主のコスト削減要求等によりトラック運賃が下落していることなどから、現状では必ずしも海上輸送が十分に活用されていない面がある。特に、首都圏と結ぶ航路は、首都圏への農畜産品の出荷において重要な役割を担っており、フェリー航路およびRORO船航路が開設されているが、関西方面と比較して貨物流動量が少ないことや、2]に述べる発着のアンバランスなどにより、RORO船航路の入港回数は少なくなっている。

こうしたことから、大量輸送が可能であるという海上輸送の利点を活かし、多様な海上輸送網や海陸一貫輸送体制を整備し、海上輸送を活用した効率的な物流体系を構築していく必要がある。

 

2]関東方面との片荷解消

宮崎県発着貨物は全体として入超であるが、関東・甲信越との間では大幅な出超となっている。上り貨物ではその中心となる農畜産品が首都圏を主要市場としているのに対し、下り貨物では、製品類(製造食品、日用品、電気製品、衣類等)が多く、これらは主に大都市圏の工場・倉庫→北部九州の広域物流センター→宮崎県内の問屋・小売店という流通ルートを取るためと考えられる。

こうしたアンバランスのため、地場トラック事業者は、北部九州向けの大手特積みトラック事業者の下請け輸送によって帰り荷を確保したり、最悪の場合帰り荷が確保できないなど、経営基盤の強化が図りにくくなっている。また、こうしたトラックの輸送形態がフェリー利用の阻害要因にもなっている。

こうしたことから、首都圏等から宮崎県に輸送される貨物を北部九州経由から宮崎県へ直接輸送する形態に転換していくことなどにより、発着貨物量のアンバランスを改善し、関東方面との片荷輸送を解消していく必要がある。

 

 

 

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