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例えば韓国・釜山に近接する下関港では、毎日運航される関釜フェリーを活用した日韓複合一貫輸送により、関東・関西方面に対して海上輸送より迅速で航空輸送より低廉な輸送サービスを提供している。現在、超高速貨物船テクノスーパーライナー(TSL)の国際航路への導入に向けた取り組みが国等において進められており、このような海上輸送の高速化が進展すれば、長崎港を介して日中間に航空・海運の中間的な新たな輸送サービスを提供できるようになる可能性もある。

 

2. 長崎港における輸送体系の将来像

 

(1) 短期的な輸送体系のあり方

長崎港には現在、韓国(釜山)航路(週2便)と中国航路(上海、福州、廈門、汕頭)航路(隔週)が開設されている。これらの定期航路により、韓国や中国との輸出入に加え、特に韓国航路の開設(1999年7月)により、韓国以外の世界各地とも釜山港でのトランシップを通じ、長崎港で輸出入することが可能となっている。

ただし、これらの定期航路の利用実績は必ずしも十分と言えず、今後はさらなる利用を促進することにより、航路の維持・拡充に必要な貨物量を確保していく必要がある。

こうしたことから、長崎港における短期的な航路展開の方向性として、以下の2点を優先すべきと考えられる。

・韓国航路の定着(週2便の寄港維持に必要な貨物量の確保)

・中国航路の拡充(貨物量の拡大による多頻度化・運賃の低廉化)

 

(2) 中長期的な輸送体系のあり方

中長期的にも、欧米航路の開設は背後圏の貨物量等の関係から困難と考えられ、既存2航路に加え、以下のようなアジア域内航路の開設に取り組むことが考えられる。

・トランシップサービスの提供可能な拠点港(高雄、香港等)との航路

・東南アジア方面の複数の地域・港湾を組み合わせた航路

・地理的優位性を活かした上海等へのシャトル航路

この中で、上海等へのシャトル航路は、中国(特に上海)に近接するという長崎港の地理的特性を活かし、関東・関西方面と中国との間において、航空輸送より安く、海上輸送より所要日数が短いという他港にはないサービスを提供することにより、近接する港湾との差別化が図られることから、重点的に取り組むべきものと考えられる。

 

 

 

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