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第5章

先進事例研究

 

ここでは、第4章で検討した輸送体系の実現に向けた方策を検討するにあたり、参考になると考えられる先進事例について整理する。

検討対象とするのは、以下の4港である。

・横浜港:官民一体となった「使いやすい港づくり」の推進体制

・神戸港:「上海・長江交易促進プロジェクト」による経済交流の強化

・下関港:関釜フェリーによる日韓複合一貫輸送サービスの提供

・博多港:官民一体となった「使いやすい港づくり」の推進体制

さらに、近隣港湾における取り組み状況として、長崎港に寄港する韓国航路の寄港地でもある熊本港の状況についても整理する。

 

1. 横浜港における「使いやすい港づくり」推進体制

 

(1) 取り組みの経緯

横浜港では、香港、シンガポール、高雄、釜山など近隣のアジア諸港の発展に対する相対的な地位の低下状況を踏まえ、先進的な施設整備の遅れと稼働日数・時間にみる非効率や港湾物流の高コスト構造が大きな要因となっているとの認識から、「質の高いサービスの提供」や「トータルコストの適正化」の実現に向け、1997年(平成9年)6月、関係行政機関、民間団体計26団体による「使いやすい港づくり推進協議会」を設立した。

推進協議会では、98年(平成10年)4月に「当面の実施策と今後の取り組み」を取りまとめるとともに、推進協議会を常設機関として位置づけ、施策の実施に伴う関係者間の調整、今後の新たな課題への迅速かつ的確な対応を行っていくこととしている。

 

(2) 「当面の実施策と今後の取り組み」について

「当面の実施策と今後の取り組み」は、

・コンテナターミナルの365日、24時間オープンの実現

・港湾利用にかかわるトータルコストの適正化

・港湾施設の効率的な運営の確保

・港湾関係諸手続きの簡素化と港湾物流EDIの早期導入

の4つの課題の実現に向けた51項目に及ぶ具体的な施策を掲げている。各施策について、実施主体を明記することにより、施策実施の責任の所在が明らかになるようにしている。

 

(3) 推進体制と進行管理について

実施策を着実に実行していくため、次の3点からなる推進体制を整備し、取り組んでいくこととしている。特に、進行管理のための推進委員を設置するとともに、各実施主体に実施状況の報告を義務づけている点が注目される。

・施策の推進:「当面の実施策と今後の取組み」51項目については、項目ごとに設定された実施主体それぞれが施策の実施に向けて検討を進める。

 

 

 

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