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第4章

長崎港を中心とした効率的な輸送体系のあり方

 

前年度調査では、長崎港の航路展開の方向性として、次の3つを設定した。

・方向性1:地場貨物をベースカーゴとしたアジア域内航路の充実

・方向性2:近隣拠点港におけるトランシップを活用した世界各地と結ぶ輸送体系の構築

・方向性3:地理的優位性を活用した上海等へのシャトル航路の開設

また、第2章では長崎港において輸送対象とすべき貨物を次の3つの視点から検討した。

・「既存貨物」:長崎港を利用している輸出入コンテナ貨物

・「転換貨物」:長崎港周辺で生産・消費され、長崎港以外の港湾を利用している輸出入コンテナ貨物

・「創出貨物」:新たに創出することが期待される輸出入コンテナ貨物

ここでは、これらを踏まえ、長崎港を中心とした効率的な輸送体系のあり方について、短期的に実現を目指すもの(概ね3〜5年)と中長期的に取り組むもの(概ね5年以上)に分けて検討する。

 

1. 長崎港における短期的な輸送体系のあり方

 

「方向性1」に示すアジア域内航路については、本年(1999年)7月、韓国・釜山〜長崎〜熊本〜八代間にフルコンテナ船による定期航路(週2便、342TEU積み)が開設されたため、既存の中国航路(中国側寄港地:上海、福州、廈門)と併せて、長崎港には2航路が開設されている。

このことから、上記3つの方向性と、対象となる貨物の関係を示すと図4-1-1のようになる。すなわち、韓国および中国の一部については長崎港と相手地域間でダイレクト輸送が可能となっているのに対し、他のアジア諸地域や欧米等については、韓国航路を活用した釜山港でのトランシップにより、長崎港での輸出入が可能となっている(「方向性2」)。

ただし、韓国航路については開設直後であり、1月末までの平均で1便あたり10.0TEU(輸入8.4TEU、輸出1.6TEU)であるが、最も新しい1月をみると31.3TEU(輸入28.9TEU、輸出2.4TEU)と大きく伸びており、これまで長崎港以外の港湾を利用していた「転換貨物」の長崎港利用の兆しがみられる。今後とも利用促進を図り、週2便の寄港を定着させる必要がある。また、中国航路については、現在同航路を利用している「既存貨物」が少ないことなどから、長崎港への寄港は隔週にとどまっており、海上運賃も割高であるなどの問題点を解決していく必要がある。

 

こうしたことから、長崎港における航路展開の方向性として、短期的には、既存航路の維持・拡充を最優先し、

・韓国航路の定着(週2便の寄港維持に必要な貨物量の確保)

・中国航路の拡充(貨物量の拡大による多頻度化・運賃の低廉化)

に取り組むことにより、長崎港周辺で生産・消費されるコンテナ貨物の輸出入において、最寄り港湾の利用による輸送コストの低減および輸送日数の短縮を図っていくことが適当と考えられる。

 

 

 

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