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健康と安全

 

環境保全活動には危険が伴います。事故が起きる可能性が、数多く潜在しているのです。できる限り安全に作業を行うことは、皆んながそのことに関心を持つことです。安全な作業イコールよい作業で、危険な作業はその反対ともいえます。安全に作業を行う秘訣は、全員が安全な作業環境づくりに責任をもつことです。

 

事故は通常、以下の2つのいずれかが原因で起きるものです。すなわち、まずい計画か、まずい作業の進め方です。まずい作業はほとんどの場合、不十分なトレーニングに起因しています。新人ボランティアがノコギリで手を切った場合、けがをした当人のせいではないでしょう。プロジェクトの計画にトレーニングが組み込まれており、また、あなたが適切な作業の運営計画を立てていれば、多くの事故は防げたはずなのです。安全対策は、実効性のある危機点検が基本となります。あなたのグループのボランティア全員が、BTCV発行の(ハンズ・オン(Hands On)のパックに入っている)「基本的な安全事項(Basic Safety)」のリーフレットを一読しなければなりません。

 

<危機点検>

 

危機点検とは、うまく行かなくなること(事故)が予測されるものは何か、事故が起きる可能性(危険率)はどの程度あるのか、そして結果がどれほど深刻になるのかを点検することです。これを進めることによって、危険を防止したり、少なくするための行動につながるはずです。

 

いかなるプロジェクトにおいても、危険を点検するために以下の6つの課題を検討しましょう。

1) うまく行かなくなること(事故)が予測されるものは何か?

 

2) うまく行かなくなる可能性(危険率)はどの程度か?

 

3) どれくらいの頻度で特定の危険は生じるのか?1日1回なのか、ある特定の道具を使用する度なのか、それとも1年に1回なのか?

 

4) 何人が危険にさらされているのか?(下記参照)

 

5) 影響は即座に出るのか、それとも長期に及ぶのか? 腕の切り傷は時的ですが、薬剤中毒は慢性的なものかもしれません。つまり、長期に及び持続性があるのです。

 

6) 法律で何が定められているのか? 例えば、その事故について扱った規定があるのか?

 

2種類の危険があります。まずい計画に伴う危険、そして、上記のようなまずい作業に伴う危険です。

 

内在する危険

 

内在する危険はプロジェクトの作業現場に既に存在するもので、地下ケーブルや下水管が通っていたり、現場への到達が困難であったり、危険なゴミが投棄されていたりするものです。さらに、オオブタクサのような危険な植物や、スズメバチの巣、それに毒蛇がいることが知られているような場所も、注意しなければなりません。中には、1年のうちである決まった時期のみに生じる危険もあります。例えば、毒性のある藍藻植物は夏期に、ある特定の条件下で池や川に発生するのです。

 

このような危険は、最寄りの電話や病院の情報と併せて、あなたの作成する現場調査の報告書や管理計画書に記入しておかなければなりません。緊急事態が発生した場合に、救急機関が利用できるかどうかも調べておいてください。ボランティアの誰かが携帯電話を持っていたら、持参するように頼みましょう。緊急時の対応が迅速にできることで、携帯電話の所有者は既に人命を助けているのです。自動車は必ず、現場をすぐに発てる場所に駐車しなければなりません。BTCVのリーフレット「安全の基本」には、このような危険に関する情報が他にも掲載されています。

 

 

 

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