日本財団 図書館


<道具の手入れ>

 

基本的な手入れは、道具係が果たすべきもう一つの仕事です。当初は、BTCVのマニュアル書の「道具管理(Tool Care)」が参考になります。「手道具類(Hand Tools)」のリーフレットも、この章と併せて読む必要があります。少なくとも、道具は全て定期的にきれいにしなければなりません。あらゆる種類の刃物も、作業前と使用中のいずれにおいても、たびたび研ぐ必要があります。刃はオイルをつけたり、必要に応じて交換したりしなければなりませんし、木製の柄は亜麻仁油で手入れしなければなりません。道具にははっきりと分かるように塗料を塗ったり、彫ったり、スタンプを押したりして印を付けるのはよいことです。特に他の環境保全グループと隣り合わせて作業する場合には好都合です。

 

<薬剤の使用>

 

薬剤、特に除草剤はとても便利な環境保全の道具です。但し、正しく使用された時に限ります。むやみに使うと環境に害を及ぼし、極端な場合には使用者にも害を及ぼしかねません。従って、取り扱う前に、薬剤の使用目的を明確にしましょう。

 

除草剤は好ましからぬ植物の枯殺に、例えば、石灰岩草地に生えるサンザシの株、中世以前から存続する森林に侵入した、外来のシカモアやシャクナゲの除去などに使用されます。ボランティアグループにとって、前年に除伐を行なったはずの潅木のヤブが再生して、一面に繁茂しているのを見ることほどがっかりすることはありません。しかし、除草剤が完壁な解決策になることはめったになく、あなたは作業後の管理についても検討する必要があります。除草剤を散布しても常にいくつかの植物は生き残るので、あなたは現場を継続的に視察する覚悟でなければなりません。さらに、環境を形成してきた、伝統的な管理方法についても考えてください。つまり、石灰岩草地の維持に最適な手段は、羊の群れなのです。

 

もし薬剤の使用が適当だと決めたら、まずもって誰かに、“国家技能試験協会(National Proficiency Tests Council)”主催の、“手持ち式散布器による除草剤の使用ならびに散布”の試験に合格するように、公式のトレーニングを受けてもらわなければなりません。トレーニングと試験に4日間を要し、約250ポンドの費用がかかります。たとえあなたがボランティアであっても、他人の所有地で作業している場合には、法律上あなたが作業の請負人と見なされます。トレーニングは、国立農業センターのATB Landbase、または、林業・植木安全訓練協会(the Forestry and Arboriculture Safety and Training Council)認定の個人インストラクターから受けることができます。BTCVの地域グループ・ユニットもアドバイスできます。このようなトレーニング・コースを受講すると、適切な化学薬品や散布方法を選択する際に参考になるでしょう。(避けるべきことがたくさんあるのです。)技術的なアドバイスに関する文献として、他に「自然保護区おける除草剤の使用-自然保護を焦点に、No14(The Use of Herbicides on Nature Reserves-focus on nature conservation No 14)」があります。

 

多くのグループは薬剤の必要性を認めますが、可能ならば、プロジェクトにおける薬剤の使用はクライアントに決めてもらいます。薬剤の使用は後に専門の請負人にお願いして行うことがありますが、中には必要な資格を持ったボランティアやBTCVのスタッフもいるので、まず、有資格者がいないかどうか聞いてまわるとよいでしょう。

 

<動力機械の使用>

 

動力機械があると、特に大きな木を倒す時などには、作業能率が大幅に上がります。現在では多くのグループが、フライモス、チェーンソー、アレン鎌、スクラブカッター等、一連の動力機械を使用しています。動力機械を使用することの欠点は、安全装備と保守の費用も含め、購入費用がたいそうな額であることです。動力機械を使用すると、平安で静かな雰囲気もかき乱されることになり、さらに、そのような機械の使用に嫌悪感を示すボランティアもいるかもしれません。従って、まず動力機械を使用する前に、以上の点について考えましょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION