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しかし、各市町村社協の就業時間終了後の連絡であり、対応が必ずしも適切ではなかった感があった。今後の災害等においては、重要な要請情報は、就業時間中の対応が必要であることを強く感じた。

 

(1) 各市町村の活動について

那須町においては、通信手段、交通手段等の確保が困難な中で、町(行政)と社協が一体になって「物資・ボランティア受付窓口」を設け初動の救援活動に当たった。その後、物資・ボランティアの数が増え、その対応に臨機応変に対応し、しかも、弾力的な運営を行うため、社協とボランティア団体等が主体になった「那須町大雨災害ボランティアセンター」が設置された。

運営に当たっては、町(行政)との連携が十分図られたため、センターが必要とする災害情報や行政の対応方針等に係わる情報の入手が比較的スムーズに行われたため、センターの運営や救援活動に大いに役に立った。

黒磯市における救援ボランティア活動のコーディネートについては、地元黒磯市社協が主体となって取り組んできた。社協が主体となったことで、黒磯市行政とは、多くの面で協力関係が持たれ、救援活動の終息後の対応や役割等をも考えた対応が図られたように思っている。

救援活動も、災害現場が2箇所程度に集中していたため、社協の前線基地を設け必要な資材の供給等を現地での活動をつぶさに見ながらコーディネートできたため短期間に多くの成果を上げることができた。

また、浸水被害が中心の黒羽町については、地元黒羽町社協の取り組みにより地元ボランティアを中心にした活動が展開され、活動の対応も早く、約10日後には対策本部が解散になった。なお、町の対策本部の一員として、社協も参画しており、町の対策活動の役割の一つを町社協が担うよう位置づけされていたため、スムーズな展開が行われた。

 

(2) 「ボランティア活動拠点」の設置

従来の災害救援ボランティアについては、被災地元の社協あるいは災害村策本部などとボランティアが直接連絡を取り合うか、または事前連絡なしに直接現地に入る場合とがあり、混乱が生じたと聞いていたため、今回は、広域的、計画的に地元の要請に応じて派遣できるよう「ボランティア活動拠点」を県社協が設置した。

設置場所については 1]被災地への交通アクセス 2]情報の収集 3]ボランティアなどの宿泊機能 4]県外からの交通アクセス(新幹線・高速道路) 5]県社協事務局、県本庁との連絡調整などを考慮して県北部地域をカバーできる黒磯市内に設置し前線本部活動を展開した。

センターは、県社協職員を常時5〜6名程度配置し、県社協事務局(本部)と那須町、黒羽町の拠点ブランチの配置職員(2〜3名)と連絡を取りながら適時適切な情報の収集と要請の対応に当たってきたところである。拠点の役割は、ボランティアの受付、活動派遣、活動終了後の人員確認、アンケートさらには、救援物資、活動機材・資材等の需要と供給機能をもつことでスタートしたが、ボランティアの独自活動が活発になるにつれて、その役割も少なくなってきたように思った。しかし、災害が大きい程、広域的支援体制、被災地へのボランティア派遣・物資の派遣、情報の集約などの視点から設置の必要性が生じ、その役割も重要であると思う。

なお、ボランティア募集については「災害情報」を市町村社協だけではなく地元ラジオ、新聞などを通して「事前登録」を呼びかけたが、特に土、日曜日については、地元ラジオ、新聞による情報の提供が即効性を発揮でき、効果があった。

 

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(3) 「那須町大雨災害ボランティアセンター」の設置

9月2日(水)に町社会福祉協議会・とちぎVネット・町ボランティア連絡協議会・青年商工会議所(JC)を主体とした「那須町大雨災害ボランティアセンター」が設置され、那須町における活動を展開し、大きな成果を上げた。

活動の展開に当たっては、代表に地元のボランティア、町社協の職員が担当として入っており、町(災害対策本部)との連携がとりやすいこともあって、比較的スムーズな展開が図られた。

 

 

 

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