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『集中豪雨における災害ボランティア活動状況と経過等』

栃木県社会福祉協議会総務部長 久宮 登三夫

 

1. はじめに

 

平成10年8月25(火)〜27日(木)にかけて栃木県北部の黒磯市、那須町、黒羽町、大田原市、湯津上村を中心に集中豪雨が発生し、河川の氾濫に伴う家屋流失、土砂災害、橋の流失、破壊など甚大な被害をもたらした。

その被害は、死者5名、行方不明者2名、負傷者10名、全壊家屋35棟、半壊家屋25棟、床上浸水511棟、床下浸水2,153棟(9月11日現在)という大きな被害をもたらし、避難者も最大で4,126名(避難所127箇所)と多くの住民の生活を奪ったのである。

また、幸にして直接的な被害に遇わなかった多くの住民も、電気、水道、電話、道路等のライフラインのストップ等により日常生活に多くの不便を余儀なくされた。このような大きな被害から、一日も早い復興と日常生活を取り戻すためのボランティアによる救援活動が県社協、市町村社協、ボランティア団体等の素早い対応のもとで展開されたところである。

その後、被災地においては、一応の生活が確保され落ち着きを取り戻してきたため直接的な救援ボランティア活動については中断することとなり、県社協の設置した「県北部地区大雨災害救援ボランティア活動拠点」も9月14日に閉鎖した。

今回の救援活動等は、関係者一同組織を挙げて継続灼な活動を展開し、相当の成果も残すことができ、さらには、今後の救援活動にとって多くの教訓をも残してくれた。また、ボランティアによる救援活動は、多くの県民にボランティア活動の重要性と意識の高揚に大きな成果があったと思う。

ここにその活動をふりかえり、本県における災害時の救援活動の概要について報告する。

 

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2. 初動対応について

 

被害状況については、県消防防災課の災害状況及び新聞、テレビなどにより把握に努めたが、現地の状況が必ずしも十分に把握できなかったため、被害が大きいことが予想された黒磯市、那須町、黒羽町に職員各2名を28日(金)に派遣し、被害状況を調査するとともに地元社協との今後の対応等について、調整を行った。

県社協の判断としては1]災害が発生拡大している段階においては、警察、消防、自衛隊、市町村等が人命救助、河川氾濫防止などに対応しているので、それ以降の災害復旧、特に住環境の整備(跡片づけ等)、避難所への支援などについて、ボランティアの確保と活動が必要であること、2]そのための対応として、あらかじめ事前にボランティアを確保(登録)し、地元祉協の要請を受けて必要な人数を派遣する必要があること、3]ボランティア活動機材や資材についても確保し、活動現場に提供する必要があること、などを視点において準備と情報提供活動等を速やかに対応することとした。

ボランティアの派遣調整については、1]過去の活動経験からボランティアが一挙に現地に入っても、受入れで混乱することが予想されること、2]地元が受入れのために多くのエネルギーを裂かれ、本来の救援活動に支障が出ること、3]宿泊の対応が困難であることなどを想定して決定した。

被害が拡大している最中の、27日(木)20時には、市町村社協あてに災害救援ボランティアの事前確保(登録)について募集要請の情報(FAX)を流した。

 

 

 

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