日本財団 図書館


重度福祉施設における婦人防火クラブの役割

 

010-1.gif

 

熊本県・星光園婦人防火クラブ

委員長 中嶋 京子

 

熊本県は、天草の本渡市からまいりました星光園婦人防火クラブ、委員長の中嶋京子です。

星光園婦人防火クラブは、身体障害者療護施設という職場で働く女性を中心に結成する職場単位の婦人防火クラブです。クラブ員の年齢構成は、50歳以下の女子職員23名がクラブ員として現在活動しています。

ここで、職場の特徴を紹介させていただきますが、福祉施設でも身体障害者療護施設とは、はたしてどんな方々が利用する施設だろうかと思われるかも知れませんが、簡単に申しますと重度福祉施設です。実際、施設を利用する人は、寝たきりで24時間全面介助を必要とする障害者で具体的には障害手帳の1級と2級を持った方々です。重度の障害といえばそれまでですが、苦労はたえません。星光園婦人防火クラブの結成のいきさつを述べたいと思います。

平成2年の夏、星光園では、天草消防組合消防本部の協力を得て「地域防災協議会」を発足させました。

これは、重度福祉施設における防火管理に必要な事項を定めて、当施設の特殊性から地域消防団に協力をお願いし、更に星光園に婦人防火クラブも結成しました。

目的は、職場に限らず地域と連携して防火意識の普及や救護活動を行うことが重要な課題と考えたからです。

そこで、婦人防火クラブ員を募る訳ですが、職場はもとより家庭を預かる主婦の一員として、防火について関心がある夜間寮母を中心に、女性パワーを防火クラブに結集しようと、当初22名で本渡市長を招いて結成式を行いました。

結成にあたり3つの目標を掲げました。

1つ目は、施設利用者と職員が一致団結して防火意識の高揚を図ること。

2つ目は、園に設けてある消防施設や防災器具の使用方法を完全にマスターすること。

3つ目は、地域防災協議会と連係して防災訓練を行うことです。

私たちが抱いていた疑問と、不安がいくらかでも解決することになる婦人防火クラブの発足でした。

具体的な、年間活動として避難誘導と救助訓練・消防施設の取り扱い・軽可搬消防ポンプの操法訓練・マネキン使用による人工呼吸法・消防団合同の夜間防災総合訓練等となりますが、これらの訓練を通していつも思うことは、訓練を何回も繰り返して行うことが大切です。それは、一度も体験したこのとない防災や災害が、常に頭の中にあり、実際の火災等がどの程度の災害となるのか予想がつかず、いざ、火災が起きた時果たして、冷静に行動できるのか、自信といえばはっきりいってないのが、正直な気持ちです。ならば、火災を出さない、起こさない、具体的には「自分の職場からは火災を出さない」「自分の家からは火事を出さない」という心構え、つまり、予防に心がけなければなりません。

婦人防火クラブ員になって、特に良かったことといえば、消防関係の行事に参加させていただき色々な体験ができ、特に消防が身近に感じられ消防職員の方に何でも気軽に相談でき、そのことで、消防に関する知識はもとより人的交流が続いていくことです。

天草は熊本県の南西部に位置し、八代海や不知海、有明海に囲まれ、豊かな自然、南蛮文化、キリシタンの歴史などの観光資源に恵まれた風光明媚な所です。どうか、一度はおこし下さい。

最後になりますが、このように婦人防火クラブ員として全国のクラブ員皆様の前で発表できる機会を作っていただいた、日本防火協会の方々にお礼を申し上げますと共に、とりとめのない発表にお許しを頂きまして、私の発表を終わらせていただきます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION