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そして、そのような所に大規模な災害が発生した場合の出動体制や救急、危険物関係業務等専門的な体制、高度な資機材等の確保等の問題があります。これら種々の問題と消防の対応力の強化を図るという面から、広域再編をしてそれぞれの消防の規模を大きくしていく必要があります。国の行政の方向として現在このようなことが進められているところであります。

更に、消防団の問題でありますが、阪神・淡路大震災の時もいち早く出動して、初期消火、救急救助活動、避難誘導等の面で非常に大きな役割を果たしたと評価されております。この消防団は、日本特有の組織でありまして、勿論若干の報酬は受けておりますが、いわばボランティアの形で活動をされている貴重な組織であります。この50年間をみますと、以前は多くの方が農業に従事しておりましたが、今は非常に少なくなってほとんどがサラリーマンというご時世であります。

そのようなことから、消防団につきまして2、3の問題についてお話ししたいと思います。

一つは、消防団員数の減少であります。昭和20年代には200万人以上おりましたが、それが次第に減って平成2年に100万人を切りまして、更に新しい数字で、平成8年に97万人程度になっております。そして、数が減ると同時に消防団員の年齢構成が高くなってきていることであります。

これも統計資料でみますと、30歳以上の人が、ほぼ4人に3人(75%)に近い数字になっております。更に、数が減っている問題に関係がありますが、消防団員の職業が変わってきております。

消防団員の職業構成比をみると、昭和43年頃は農林水産業が6割強でしたが、今は15%程になっております。職業構成が変わってくるとどのような問題があるかと言いますと、農業の場合は職と住が近接しておりますから、消防活動のために即時に出動できる体制でありましたが、サラリーマンになりますと、職と住が分離されており昼間時に即応できるかどうかという問題があります。消防団は、火災その他の災害対応に非常に貢献されている組織でありますので、可能な限り若い人達に積極的に参加してもらい、また、消防団に加入しているサラリーマンについては、その事業所の責任者等に対して消防団活動についての理解を深めてもらうためのPR活動をしているところであります。

最後に、ガソリンスタンドのセルフサービス化の問題であります。

これは、国民の多くの方々に関わりのあることかと思いますが、そもそもこの問題が出てまいりましたのは、いわゆる規制緩和でありまして、これは、行政の関与をあまり受けずに民間の活動ができるような仕組みに変えていくということであります。

消防の関係としては、ガソリンスタンドのセルフサービス方式の問題でありまして、これは平成7年に規制緩和推進計画が政府で決定されました時に、ガソリンスタンドの安全性に関する調査検討委員会という専門家組織によって検討することになりました。この時の検討の視点は、車のドライバーが自分で給油することができないか、その場合に従来と比較して危険性が高くならない方策が可能かということを中心に検討されました。昨年の11月の検討委員会では、一つには、ガソリンスタンドの無人性については、日本においてはまだ時期尚早ではないかということで、有人性にして監視者がいなければならないとするものであります。もう一つは、安全性の面から必要な施設の整備をするという条件が整えば、従来に比べて危険性はそれ程高くはならないという結論になりました。そして、検討委員会の報告を受けて関係の政令・省令を改正する作業を進め、今年の4月1日から制度として可能になりました。これを採用するか否かは事業者の判断の問題でありまして、選択の幅を広げたということであります。

最近の消防防災行政に関わる大きな課題につきましては、以上のようなことではないかと思います。 

 

 

 

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