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これにより、これまで外国人の漁業活動に関してのみ設けられていたボンド制度が船舶に起因する海洋汚染事犯の場合にも適用されることとなった。

このボンド制度については、その法的性質および合理的な額などについて国連海洋法条約では具体的に定められていない。したがって、それらは、沿岸国の裁量により決定されるものと解される。

本稿においては、わが国におけるボンド制度を早期釈放後の手続きから、その機能に着目して、検討しようとするものである。

 

2 わが国におけるボンド制度の概要

 

わが国では、国連海洋法条約の批准を受けて、船舶起因汚染との関連では、昭和45年に制定された海洋汚染防止法2 が、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律」(平成8年法律第79号)により改正された。

改正された海防法は、国連海洋法条約第226条第1項(b)を受けて、その第9章において、「外国船舶に係る担保金等の提供による釈放等」の手続きを定めた。

2 昭和45年に制定された海洋汚染防止法は、「1954年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約」(以下、「1954年条約」という。1962年改正)を受けて制定された「船舶の油による油水の汚濁の防止に関する法律」(昭和42年)を廃止し、1954年条約の1969年改正に対応して、その内容を国内法化することから制定されたものである。しかし、この段階では、今日のような、担保金等の提供による早期釈放制度は、設けられていない。

 

 

 

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