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第2章

モデルの現象説明能力の検討

 

1. 序節

 

本章では、第1章で提案したネットワーク均衡モデルの現象説明力がどの程度あるかを検討するため、数値計算を行い、現実のコンテナ貨物のフローと計算結果を比較する。

まず、国内荷主の動向を詳細に検討するため、国内を府県単位でゾーニングし日本に出入りする外貿コンテナ貨物のみで検討する。外航航路としては、アジア航路、北米航路、欧州航路、オセアニア航路を取り上げる。中東航路・南米航路・アフリカ航路等は絶対貨物量が少ないこと、計算容量の制限等の理由により、計算対象から外した。本研究は東アジア─太平洋地域の港湾政策の影響を評価することが主目的であるが、これらの航路は他の基幹航路に与える影響は少ないものと考えられ、計算対象から外しても結果への影響はないものと考えられる。

 

2. 使用データ

 

1] 国内コンテナOD貨物量

国内外貿コンテナ貨物のODは1993年(平成5年)11月に実施された1カ月間貨物純流動調査の結果を用いた。輸出・輸入別に結果を図表III-2-1に示す。計算では、年間で行わずに直接このデータを利用するために1カ月流動を再現する。

2] 国際コンテナOD貨物量

外国間のコンテナ貨物の流動調査資料は無いので、国際貿易額取引実績に基づいてさくら総合研究所が行った調査結果(1993)、および高橋(1995)によるアジア地域貨物流動状況調査結果に基づいて作成した。その結果を図表III-2-2に示す。実際の計算では、外国代表港の背後圏を設定し、図表III-2-3の地域別OD表を使用した。

3] OD貨物の平均価値

各OD貨物の平均価値は、国内貨物については、前述の純流動調査における各都道府県別の輸入・輸出貨物のトン当たり平均価格を用いた。その値を図表III-2-4に示す。計算では仕向地とは無関係にこの価格を設定した。

 

 

 

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