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1) 香港のコンテナ・ターミナル・オペレーター

香港には民間コンテナ・ターミナル・オペレーターが4社ある。すなわち、

1] Hong Kong International Terminals Ltd.(HIT)

世界最大のコンテナ・ターミナル・オペレーターで、クワイチュン・コンテナ・ターミナルで取り扱われているコンテナ貨物の60%を処理している。香港の大財閥である李嘉誠グループ(中核企業は長江実業)の中の1企業であるHutchison Port Holding(以下、HPH)が持つ傘下子会社である。1973年にコンテナ・ターミナルの供用を開始している。

2] Modern Terminals Limited(MTL)

香港の海運王であり香港財閥九龍倉集団のトップであった包玉剛氏の関連企業である。ターミナルの供用開始は1972年である。

3] Sea-Land Orient Terminals Ltd.

米系船社Sea-Landのコンテナ・ターミナル・オペレーターで、1972年にターミナルの供用を始めている。

4] COSCO-HIT Terminals(COSCO-HIT)

HITと中国国営船社COSCOの合弁企業で、1994年にターミナルの供用を開始している。

コンテナ・ターミナルの運営は巨額の投資を必要とすることもあり、香港では現在、コンテナ・ターミナル・オペレーション業界は、この4社(COSCO-HITをHITの子会社とみなせば3社)による寡占状態である。

 

2) コンテナ・ターミナルの整備方法

香港港の場合、まず旧香港政庁、現香港特別行政区政府(より特定するならば後述するPMD)が示すコンテナ貨物需要予測にもとづいてターミナル用地の特定と貸与が決定される。そして当該用地の借り受け者が入札方法で決められた後、コンテナ・ターミナル用地の整備やターミナル施設の整備は全て民間のコンテナ・ターミナル・オペレーターが行っている。すなわち、民間コンテナ・ターミナル・オペレーターは旧香港政庁に権利金を支払ってターミナル用地を長期(50年)にわたって借り受け、水面の埋め立てを行いコンテナ岸壁を自前で建設するとともに、ターミナル用地内にコンテナ貨物の取扱いに必要な諸施設(コンテナ・フレイト・ステーション、コンテナ・ヤード等)および諸機械(ガントリー・クレーン等各種荷役機械等)を自ら建設・配備する。コンテナ・ターミナル用地の整備から後の全ての業務を民間企業が一括して行うところに香港港の「民営」管理・運営体制の特徴がある。なお香港基本法では、土地は国有であるが、管理・使用権は特別行政区政府に属しており(第7条)、1997年6月30日の期限を越える契約については引き続き承認保護される(第120条)ことになっている。また1国2制度の50年間(2047年6月30日まで)の契約については借地人は1997年7月1日から追加地価を納入しない(第121条)となっている。

 

 

 

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