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しかし港運料金規制が硬直的であるとして、港湾荷役料金の自由化が検討中であり、さしあたり現在の確定額規制が幅料金制に変更されることになっている。その後ターミナルオペレーターの戦略次第では、差別料金導入など料金体系の変更が行われるであろう。

韓国においてはもともと釜山港の混雑緩和をはかるため、光陽を含めた周辺港の一般埠頭に入港した際にはトン税の20%減免が行われてきたほか、釜山特別市によって同港のみに賦課されているコンテナ通行税(現在TEU当り30米ドル)は他港では免税されている。

 

(2) 港湾間の料金調整

政府は光陽港利用促進の方針として、料金引下、後方ロジスティックス施設の開発、ポートセールスの推進、背後地の交通施設の拡張、をあげ、とりわけ当座の対策として料金の引下を検討した。その結果、光陽に対しては、上記免税に加えてさまざまな料金優遇策が規定された。たとえば1998〜99年の開港後2年間の入港料と泊地・岸壁使用料は、外航・内航コンテナ船を対象に全面免除された。ターミナル賃借料については、1998年分を98〜2002年の間に、99年分を99〜2003年の間に分割払いすることを認めた。コンテナ無料蔵置期間に関しては、釜山より長くし、輸出7日、輸入10日、トランシップ貨物15日としたうえ、超過蔵置料金の逓増制をやめるとした。また喫水に応じた水先距離の短縮と水先料の20%割引を提示した。

さらに海洋水産部(MOMAF)は、同一船の釜山と光陽の2港への連続寄港を誘導する方針を採り、光陽に続いて釜山の順で寄港の場合の割引料金の採用を決定した。当該案については、寄港促進に不十分という評価から、後に釜山に続いて光陽の順での逆順でも割引の対象となるように修正された。しかしながら2港への寄港とそのための2港でのターミナル整備は、船社にとって二重投資となり、実質的には光陽への寄港と光陽でのターミナル投資が浪費となる。

最終的には1998年春に予定されていた光陽ターミナルの開港を控えて、入港するシーランド/マースク(共同運航)に対して政府は、当初予定されていた割引に加えて追加的割引を決定した。これは全体で港費の4分の1程度の割引を追加し、パッケージとして40%にしたものである。また空コンテナは無料として空コンのハブとしての役割を誘導しようとした。これらの大幅な港湾料金の割引が一定の効果を上げたとみるか、ZIMラインが抜港を検討しつつも寄港を続けているほか、コンテナの保管用にターミナルを利用している船社もある。

釜山と光陽の両港の間での料金調整自体については、関係者の多くが肯定的であった。とりわけMOMAFからは、戡湾ターミナルは釜山の一等地にあり、光陽ターミナルとの間で料金差別を導入することは当然である、との説明を受けた。

 

《参考文献》

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汪王仁「北東アジアにおける国際コンテナ物流の中継貿易港の観点から見た神戸港・釜山港の競争力比較」『海事産業研究所報』No.379〜381、1998年1〜3月

金亨泰「将来のハブめざす韓国港湾事情」『Container Age』No.342〜343、1996年1、2月

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港湾空間高度化センター『世界のコンテナターミナル調査(釜山港)報告書』1996年

朴鉉奎「90年代における韓国の港湾施設、運営状況、および港湾政策」『海運経済研究』第31号、1997年

 

 

 

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