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コンファレンスのメンバーとなっているターミナル・オペレーターの職員賃金は高く、全社が同一賃金を設定している。メンバー外の事業者と比較すると1.3〜1.5倍の水準にある。ただしこのような高賃金はターミナル・オペレーターのみにあてはまり、業務委託を受けるステベ会社や運輸会社の労働者には当てはまらない。公民格差もあり、民間オペレーターはBCTOCよりも25%程度賃金が低い(KECインタビュー)。

港湾労働組合が新ターミナルの建設・供用に際してターミナル・オペレーターに要求した項目は、補償と雇用確保の2点であったという。

 

6. ヤード、CFSの混雑とオフドック荷役への対応

 

(1) オンドックシステムとオフドックシステム

釜山港取扱コンテナ貨物においては、港湾地区におけるスペース不足のため、バンニングとデバンニングはもとより、コンテナの受け渡しや通関・検疫自体も港湾区域外で行われる比率が高く、このような貨物取扱システムをオフドックシステム、そのための港湾区域外のコンテナヤードをオフドックコンテナヤード(ODCY)、また港湾区域外のCFSをオフドックCFSと呼ぶ。現在、釜山市内には、港湾地区と飛行場跡などを中心に約50箇所のODCYがある(関連して市内には141箇所の保税蔵置所と保税倉庫が存在している)。一般的には施設利用に自国船優先主義があることが否定できず、外国船社はオフドックシステムを採用してきた。一般的にオーバーフローしたコンテナの処理方法としては、一般埠頭取扱への切り換えや、設計上の強度から妥当で、設計上の処理能力もこれに基づいているコンテナ3段積みを超えて5〜6段積みで対応するケースなどがある。

戡湾ターミナル供用まで、船社によって異なったシステムが採用されていた。ステベ会社はオンドックの狭いスペースでいかに能率をあげるかが最大のノウハウとなっていた。輸入コンテナのケースで滞留時間の長い貨物は、ターミナル保管ができないため、オフドックシステムの対象となり、この場合1週間までの蔵置が無料であった。このような場合にバースとオフドックヤードあるいはオフドックコンテナヤードの間での輸送が必要となり、これを「シャトル」と呼んでいる。船社がオフドックシステムを選択した場合、ターミナル・オペレーターはオフドックコンテナヤードの予約受け付けを行うことのみが業務となり、コンテナを破損されたのち修理して返却されてもわからないほど、実際の作業に関与しない形となる。基本的にオフドックシステムでは、マーシャリング専用ターミナルとオフドックコンテナヤードとの両方を経て荷役が行われ、ダブルハンドリングになってしまう。このため輸送や情報のシステムが二重になるとともに荷役費用のうえで相当高価につく。またオフドックシステムは釜山市内の交通渋滞の大きな原因となっている。

 

 

 

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