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1995年第1四半期には、入港船舶の15.7%が12時間以上の入港待ちを強いられた。入港待時間はコンテナ・ターミナル接岸のケースでは大きく、とくに子城台(ジャスンデ)ターミナルで平均54時間と長時間化していた。釜山港への貨物集中は、市内道路とソウルと結ぶ京釜高速道路の混雑も引き起こしている。

 

(2) 仁川(インチョン)、蔚山(ウルサン)、馬山(マサン)の各港湾

釜山以外の残りのコンテナ取扱量の大部分が仁川(インチョン)港のコンテナ専用埠頭(第4埠頭)によるほかは、蔚山(ウルサン)、馬山(マサン)、群山(クンサン)各港の多目的ターミナルにおいてコンテナの優先取扱が行われている。同様のコンテナ優先取扱は、釜山港の一般埠頭においても行われている。

仁川港第4埠頭は釜山港よりも4年早く、1974年に供用されたが、一般埠頭にガントリークレーンのみ設置された形態である。このガントリー・クレーンについては、韓国の港湾で初めて民間の韓進海運と大韓通運(KEC)によって整備された。その際所有権は国に帰属されたが、両社には負担の見返りに20年間の無償使用権が与えられた。期限が到来した1995年以降は、当該ガントリーを国から韓国コンテナ埠頭公団(KCTA)が無償で借受、引き続き使用している2社に対し有償貸付を行った。この貸付、所有、運営の方式が後述のさまざまな大規模投資のケースでも民間関与形態の雛型となった。

早くにコンテナ化が行われた仁川港で十分な量の取扱が行えない理由として、その後コンテナバースに投資が行われていないことに加え、基幹航路から遠く、片道で1航海日を要すること、干満のために閘門での入港待ちを生じ、大型船の入港が困難なことがあげられる。

釜山近郊でコンテナが取扱い可能な港湾ターミナルとして、馬山港と尉山港がある。馬山は釜山の西70kmにあり、第4埠頭において若干のコンテナ取扱が行われている。一方尉山は釜山の北80kmにあり、釜山からの距離では馬山より遠い。しかし日本航路の距離が短く、背後に石油化学コンビナートが立地しており、第6埠頭が釜山の代替コンテナターミナルとして機能している。釜山のコンテナターミナルの混雑緩和のため、両埠頭は一般埠頭ではあるものの、コンテナ船優先利用が行われている。

 

2. 韓国における港湾行政

 

(1) 港湾種別

韓国には2種の港湾がある。その第1は全国港湾であり、第2が沿岸港湾である。

 

 

 

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